「天高く馬肥ゆる秋」です。<天が高い>と言うのは、空気が澄んで爽やかでしのぎやすさを意味しているのでしょうか。<馬肥ゆる>と言うのは、美味しいものがたくさん収穫されて、食欲が増進し、健康的な季節を意味しているのでしょうか。まさに秋なのでしょう。
ここ華南では、日本で、生まれた時から感じ取って来た秋とは、だいぶ違ったものなのです。何しろ時間的に短いのです。『あっ、秋だ!』と感じたらすぐに、冬の到来なのです。1〜2週間ほどでしょうか。それでも夜間は、長袖や薄手のうわぎが欠かせないので、温度の日較差が段々と大きくなるのに注意しないと、風邪を引いてしまうのです。よく、こちらの方に、『注意してください!』と言われてしまいます。
「馬肥ゆる」と言っても馬ばかりではありません。気候が快適で、食欲が進んで、何でも美味しいので、人が肥えてしまうのです。自分にとって禁物なのが、「柿」なのです。ドリアンもマンゴスチンも美味しいのですが、日本に古くからある果実、この「柿」が、大好物なのです。今日も出かけてからの帰り道の小型スーパーで、「柿」が並んでいました。一旦は素通りしたのですが、もどって来て、買ってしまいまいました。日本で食べていた「次郎柿」に形がそっくりだったからです。まだ渋そうでしたが、家で皮をむいて、食べましたら、色の割には美味しかったのです。
でも、最盛期の「富有柿」とか「御所柿」に味には及びません。まだ早生なのかも知れません。もうしばらくして、涼しくなったら、甘くて食べると果汁が滲み出るような「柿」が出てくることでしょう。去年は、それにありつけたからです。そうしたら、「人肥える秋」になってしまうので、注意しないといけませんが、この食欲に勝つためには、相当な意思力が必要なようです。こちらの友人知人には、<柿好きな>であることを誰にも言っていません。日本では言ってしまって、毎年秋には、柿を頂くことになってしまったので、言わないのです。
『あっ、柿だ!』、山路で美味しいそうな「柿」を見つけて、みんなで採って食べたことがありました。食べ終わったら、そこは柿畑だったのに気づいて、罪意識を覚えて、そそくさと引き返したのです。あの中に、私の恩師もいました。<柿ドロボー>をさせてしまったのは、本当に申し訳ないことしてしまったのです。その恩師も、もう召されて12年になります。
(写真は、”ぐるなび食市場”による「御所柿」です)