『ニッポンって好いなあ!』

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亡くなった父の名前が、「むねはる」でした。伊達政宗の「宗」を一字をもらています。その名前は、私たちへのメッセージでもあったのです。『男の子は<胸を張って>生きるんだぞ!』と、父のことを思う時に、そう語りかけられて育ったのです。それは、『誇りを持って生きるんだ!』 と言っているのです。『俺は金は残さないが、教育だけ受けさせてやる。あとは自分で生きていけ!』と常々言っていました。学校を出て、母校の教師の紹介で勤め始めた職場の長の家に、『一緒に挨拶に行こう!』と父が言って、一緒に出掛けたことがありました。父の力をかりずに、生き始めた私を、この方に任せたかったのです。父親って、そんなものなのかと思ったりしたのです。

関西圏の「大阪テレビ」で制作し、全国で放映されている番組に、「和風総本家」があります。日本の「誇るもの」、物や技術や精神を取材し、クイズ形式で進行して行くもので、とても興味深い番組です。番組のはじめに「豆助」という子犬の柴犬が、磨き上げた木板の廊下を滑りながらやってくる場面があります。仕草や表情が可愛くて、この豆助は人気者なのだそうです。時々、世界で使われている「日本製品」を追って、世界の街を取材のために出かけたりしていて、使い手の感謝、製作し提供する人たちの誇りと喜びの交流があって、感銘が与えられます。

また、毎回、「旬の魚」や「野菜」などが紹介され、その名の由来が語られ、国語の勉強にもなるのです。この場面が終わろうとするところで、『 ニッポンって好いなあ!』と感嘆する言葉が織り込まれています。それを聞きますと、『日本には、世界に誇るものがあるんだ!自信を持って生きて行くんだぞ!』と言われているように感じてしまうのです。もう一仕事やり終えて、第二の人生を生きている私ですが、青年たちが聞くように聞こえてくるのです。

先日、文化勲章を受けた高倉健が、『日本人に生まれて、本当によかったと、きょう思いました。』と、記者会見で語っていました。良いにつけ、そうでないにしても、この国に生まれ育ったことを感謝しているのでしょう。自分を産んでくれた父母の生まれ育った国ですし、二人の兄と一人の弟、さらに家内も、私たちに与えられた四人の子どもたちが生まれた国であるのです。偏屈で、独善的な愛国心は欲しくはありませんが、「母国への思い」を持つことは好いことではないでしょうか。野望が砕かれて、滅びそうになった時に、かつての敵国から多くの物資が寄贈されました。兄や弟や私も、「ララ物資」の「粉末ミルク」で育った世代です。美味しくはなかったのですが、あれで「背骨」が育ったのだと思い返しています。

決して自分だけで生きてきたのではありません。そんなことを考えながら、『日本って好いなあ!』、『日本人に生まれて好かった!』と言いたい気持ちの今朝です。

(写真は、葛飾北斎の「富嶽三十六景」です)