転寝

 

 

「転寝」、これを〈うたたね〉と読みます。昨日、ある集まりに出掛け、その足で、次女運転の車で、家内を入院先に見舞いました。まだインフルエンザの影響で、面会全面禁止で、会うことが叶いませんでした。

〈掟破り〉の常習者の私は、病棟の看護師さんに、家内の着替えを渡す時、メモを添えて、家内に悪知恵を入れるのです。携帯電話を持たないので、病棟四階のエレベーター脇にある、入院患者用に公衆電話まで、電話をするふりをして出てくるように、伝えるのです。その隣の電話機で電話をかけるそぶりの私と家内と次女と会話するという策略です。この2日ほど成功し、ちょっとの間ですが、家内と言葉を交わすことができたのです。ところが見破られてしまい、昨日は、策が功を奏さず、会わずに帰ることになってしまったのです。

もちろん、よく手をアルコール消毒し、マスクをかぶりながら、ナースステーションに行くのですが。それで、ちょっとがっかりした私は、帰宅して、次女の淹れてくれたお茶を飲んで、煎餅をかじって、炬燵に横になって、そのまま「転寝」をしてしまったのです。

この〈転寝常習者〉でもある私は、華南の街の家でも、それで何度も風邪を引いていて、家内に、厳しく叱られてきました。しばらくは守るのですが、忘れっぽい私は、〈約束破りの常習者〉で、昨日もしてしまいました。

きっと、チョキレートって、この〈転寝〉と同じで、習慣性があり、何とも言えず気持ちがいいし、美味しいのでしょうね。〈転寝〉は格別です。叱られるのを承知で、繰り返してしまうのです。ものの2、3分の〈転寝〉って、ほんとうに旨いのです。でも今は叱られずに、思い出しては、首を引っ込めてしまいました。

(多摩美術大学工芸学科の野口裕史教授に作品です)

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