日本と日本人

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「物議を醸(かも)す」とは、世間の論議を引き起こすことを言っている様です。使い方を間違えて、「問題発言」や「失言」のことを、そういう風に理解している場合が多いのだそうです。

先日、福岡県直方(のうがた)市で行われた国政報告会で、『2千年の長きにわたって、一つの民族、一つの王朝が続いている国はここしかない。』と、ある政治家が言いました。私は、母が島根県の出身ですから、地理的に考えてみて、きっと、朝鮮半島からの渡来人の血を引いていると、今でも思っています。それで、キムチが好きなのかも知れません。

残念ながら、私たちの国、日本は単一民族国家ではありません。この方の言う「二千年」の間、いえ、それ以前からでしょう、、大陸や北方や南方から、やって来た人たちが住み着いた地であって、「大和民族」だけの国であって欲しくても、そう思うだけで、歴史的、人種的な事実ではありません。

高校の卒業旅行で、北海道に行きました時に、観光化したアイヌのみなさんの村を訪ねたことがありました。明治以降の北海道開拓の動きの中で、農耕や狩猟の民族なのに、自分たちの耕地や猟場を奪われ、村を追われる悲劇を被ったのは、歴史の事実です。その事実を押し隠して、〈単一民族〉だと言うなら、随分浅薄な日本人論をお持ちです。

ブリヤート人の持つ染色体と、弥生人のそれと近いと言われていましたから、弥生人の末裔の私たち日本人の一つの原点は、シベリヤにあるのでしょう。でも、もっと辿るなら、〈エデンの園〉に至るのでしょうか。

札幌の病院に入院した時の病友に、「オホーツク文化」を説かれて、樺太や黒竜江流域に、強い関心を呼び起こされた私は、いつか、網走や樺太やイルクーツクあたりに行ってみたくて、ウズウズしているのです。

さらに私の知人には、東南アジア系の方と見間違う様な方が、何人かおられました。私たちの事務所を訪ねて来られた、東南アジア諸国からの方たちと、瓜二つなのに、日本人なのです。多様性があっての日本人であることを認め、様々な背景の一人一人が、〈醸し出す雰囲気〉で、互いを認め合って、この国の上で生きていきたいものです。

(ブリヤート共和国、ブリヤートの家族です)
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