綻び

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 『薬には、73000種類ほどあります!』と、以前ラジオでしたか、大阪の薬大の先生が話しておられました。驚くほどの種類と数があることになります。医療でみられる「プラシーボ効果」ということばを聞いたことがおありでしょうか。〈病気についての基礎知識〉によりますと、『プラシーボ(Placebo)の語源はラテン語 の「I shallplease」(私は喜ばせるでしょう。)に由来しているそうです。そこから患者さんを喜ばせることを目的とした、薬理作用のない薬のことを指 すようになったのです。通常、医学の世界では乳糖や澱粉、生理食塩水が使われます。従って、プラシーボ効果(反応)は、このような薬理作用のないものによりもたらされる症状や効果のことをいいます。それはいい場合と(治療効果)、悪い場合(副作用)の両面があります。「これは痛みによく効くよ。」といわれて、乳糖を飲んで、痛みがなくなったり、逆に吐き気がでたりすることがあります。この場合、プラシーボにあたるのが乳糖であり、プラシーボ効果にあたるのが、鎮痛効果であり(治療効果)、吐き気(副作用)であるわけです。プラシーボ効果がどうして起こるかについては、次のようなことが考えられています。1)暗示効果、2)条件付け、3)自然治癒力、4)その他 』とありました。

 これは、いわゆる「ニセ薬」のことです。砂糖でもシロップでも何でもいいのですが、『これを飲むと、痛みがなくなる効果がありますので、飲んでみてください!』と医者に言われて、飲んでみると、実際に鎮痛効果があらわれるのだそうです。きっと、医者が持っている〈ことばの権威〉と深く関係があるのだろうと思います。『医学を学んで、お医者さんになったこの方が、効く、というのだから、きっとそうに違いない!』と信じて、医療効果が実際にあることになります。小学校入学前に、肺炎にかかって、町の国立病院に入院しました。死線をさまよいながら生還した私は、小学校3年まで病気欠席の多い児童でした。風邪をひくと、母は私を必ず病院に連れて行ったのです。『今度肺炎になったら死を覚悟してください!』と、主治医に言われていたからなのです。ですから、薬を沢山飲んできたことになります。医療保険などなかった時代、山奥で病気になったのですから、治療のための費用を考えてみると、父の負担は相当なものだったのではないでしょうか。

 家内が、昨年の11月に、市内の医院に、1週間入院したときに、病室前の廊下で、医者と患者が取っ組み合いの喧嘩をしていたのを目撃したのだそうです。医療費の払えなくなった患者さんが、治療を中止した医者に抗議して喧嘩になったようです。「前払い」をしないと、治療が継続されない、そういった医療制度、病院のシステムなのですから、仕方がないわけです。幸い、私たちは「前払い」をすることができましたから、治療をうけることができました。入院中に、シロップではなく、注射用のカプセルを飲み薬にと渡されたのです。これを知った友人が、医者に抗議してやめたことがありました。この医者は、「プラシーボ効果」を狙ったのでしょうか、実際にそのカプセルに効能があったからでしょうか、私たちの経験からして、その投薬を疑ってしまったわけです。何も食べない1週間に、その薬は、素人判断で、きっと効かなかっただろうし、飲んでいたら逆効果だったかも知れません。でも、その選び取りはよかったと思うのです。

 この大阪の薬大の先生は、なぜそんなに多くの薬があるのかを、こう言っていました。『みんな効かないからです!』とです。ずいぶんはっきり言ったので驚きましたが、実に正直な方だなと思っていました。でもお名前を失念してしまいました。効かない薬を飲ませるのは、もう「プラシーボ効果」以外には考えられませんね。先日、私は、「漢方医薬」の処方箋を書いていただいて、三日間飲みました。苦かったので、きっと〈良薬〉に違いないと思ったのですが、ある方に言わせると、『十人に一人が効きます!』と言っていました。でも、この数年、あるビタミン剤を飲んでいます。義妹や娘たちが、せっせと送ってくれますので、頑張って飲んでいます。歳のせいでしょうか、肩や関節が痛むので、人に勧められて、EXというビタミン剤も飲んでるのですが、飲まないときと飲むときと歴然の違いがあるのです。家内にも飲むように勧めましたら、彼女も、この効果を経験しているのです。このままだと、一生飲むことになるのでしょうか。

 こちらの友人たちも、『これがいいですよ!』とか、『あれがいいですよ!』と言っては紹介してくださったり、持ってきてくれます。気遣ってくださるのはとても嬉しいことです。今のところ、病気がありませんので、投薬を飲むことはないのですが、なんとなく体に〈綻び(ほころび〉が出てきているのを、この頃感じております。うーん、『少年老いやすく・・』の意味が分からなかった日が懐かしく感じる、冬至間近の朝であります。

(写真は、最近勧められている「霊芝(万年茸)」です)