先日、友人の家を訪ねての帰り、道路脇に止まっていた車のトランクから、皮の剥いてある「筍(たけのこ)」を取り出している人がいました。一抱えもありましたから、きっと、どなたかに分けるのだろうと思ったのです。旬の食材で、なんともいえない春の旬(しゅん)の匂いがしてきました。正直な条件反射で『いいなあ!』と思ってしまったのです。
「筍掘り」に誘われたことがありました。ご自分の山で、急斜面が竹林になっていて、ちょこんと芽を出した頭を見つけて、小さめのスコップで掘るのです。だいぶ掘りました。土や落ち葉の匂いの中から、筍の匂いがしてくるのです。これも春の到来を告げる自然の恵みの香りの一つです。
そう言えば、上の階のご婦人が、「老家(故郷のことです)」で掘った筍を頂いたことがあります。水煮をしたものには比べられなく美味しかったのです。信州に「高菜」という塩漬けの漬物にする野菜があります。「地菜(じな)」とも言うようですが。この古漬けが、玉のように丸められて、近くの「菜市場」と呼ばれているマーケットで売っています。スープに入れたり、炒め物に使ったりして、この地の食材の一つなのです。この他に『これ、日本にもあり、時々食べました!』と、一緒に食卓を囲む時に言うことがあるほど、食べ物が似ています。
我が家の食卓で、よく食べる物に、「秋刀魚」があります。少々小ぶりですが、いつでも解凍されたものが売られています。フライパンで焼いて、大根おろしと醤油で食べると、故郷の日本を思い出すのです。秋の夕方のグラウンドで、練習をしていると、秋刀魚を焼いた煙が流れてきて、空きっ腹が刺激されて、早く家に帰りたくなったことがありました。
なんと言っても、食べ物、食材が、日本に似ていて、驚くことがあります。きっと、多くの物が、この辺りから、日本に向けて輸出されていることでしょう。学生さんが、時々「はにかむ」のですが、日本人にそっくりな表情をされています。「同根同源」、中国と日本の近さを、痛切に感じている初夏であります。
(写真は、”ウイキメディア”による、竹林の中の「タケノコ」です)1