ハサミ

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今春、幼稚園の年長になろうとしているお嬢さんが、お母さんと、時々、わが家にやって来ます。『じゅんさん!』、『ゆりさん!」と、まるでお友だちの様に呼んでくれる、実にくったくのない子なのです。多くのお母さんは、自分の子どもに持たせないのですが、彼女のお母さんは、どう使うかを教えたのでしょうか、ご自分の子に〈ハサミ〉を持たせています。来るたびに、器用にハサミで、折り紙を切って、セロテープで貼り付けて、作品を作って遊んでいます。

わが家に、“ モンキー・バナナ・スタンド"があるのですが、来るたびに、何度も見てきた ” 毛なしモンキー “ を、先週は、ハサミで切った紙で服をこしらえて、この子は、その裸をおおおったのです。そして、リボンまで作って頭につけていました。『これ、欲しいなあ!』と言い続けてきたのを、『これ、小百合ちゃんが置いてったからね!』と、ダメにしてたのです。今回は帰りしなに、このモンキーを借りて帰って行きました。

この子は、『欲しいなあ!』と言う代わりに、『ウチにあるのが一番いいいんけどなあ!』と言う、知恵を働かせるのです。上の娘にメールをして、『上げちゃったけど、ごめんね!』と言ったら、『そこに来て楽しむのがいいのにね!』と言いながらも、承諾してくれました。4〜5才の女の子が欲しそうな物を置いていたので、仕方がないかな。

もう一つ、カーテンをはさむ猫があって、これもお気に入りなのですが、こちらは諦めた様で、ちょっとホッとしています。オネダリはしない子で、けっこう潔い5才です。そう言えば、わが家の4人の子も、オネダリ下手だったのです。親戚の家に行くと、おもちゃは自分で工夫して作らなければならなった彼らは、珍しい物を見つけても、欲しい素振りはしませんでした。いじらしいほど、じっと我慢の子たちだったのです。

私たちの孫たちも十代で〈工事中〉で、どんな人に造り上げられて行くことでしょうか。このお母さんは《栃木の娘》、お嬢さんは《栃木の孫》だと言ってくれています。スクスクと健全に育って行くことを願う、桜の便りを耳にする、三月下旬です。

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