自分で考えよ!

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今日は、12月23日、日本では「天皇誕生日」の祭日です。今上(きんじょう)天皇の明仁さまは、84歳になられました。ある国会議員が、自分の信念ででしょうか、「天皇がいること」や「天皇制度」について随分辛辣で不遜なことを語っていました。私は、 「大英帝国」に「王さま」がいる様に、日本にも「天皇」がいらっしゃることに感謝しているのです。

殊の外、明仁さまは、人格的にも優れていらっしゃると、聞き及んでいるからです。戦後間もなく、学習院中等科に、一人のアメリカ人の女性教師が招聘されました。父君(昭和天皇)が、『明仁の教育にアメリカ人教師をつけたいのです。』との願いが汲まれて、1946年(昭和21年)に、エリザベス・ヴァイニング夫人が招聘されたのです。日本主義の教育ではなく、アメリカに見られる「人格教育」を願ったからだったのでしょう。

夫人は、最初の英語の授業で、"You named Jimmy!"と明仁さまに言うと、『私はプリンスです。』と少年明仁さまは答えたそうです。でも夫人は、『確かにあなたは明仁親王です。でもこのクラスの中では、あなたは"ジミー"です。』と答えられたのです。米国ペンシルベニア州生まれの"ベス(エリザベスの略愛称)"は、「質素・誠実・平等」を掲げ、「平和主義」の精神を持った教師でした。夫人は、明仁さまが、《一人の人》であることを教え、誰にでも同じ様に接して欲しかったのでしょう。

同級生が、後になって、『先生は「人間はみんな平等」だと始終、おっしゃっていました。ほかの生徒たちにも英語名をつけ、殿下を『ジミー』と呼んだのも、平等の考えからだったと思います。優等生も劣等生も分け隔てなく可愛がっていました。』と、その教室でのことを語っています。

夫人は、1950年(昭和25年)10月に帰国するのですが、その学習院最後の授業で、次の様に板書しています。
 
"Think for yourself!(自分で考えよ!)"

明仁さまは、公式の席上、お話をなさる時、侍従の作った原稿を読まないのだそうです。ご自分で考えて作られた文章を使われるのです。これも、『人はロボットではありません。自分の意思を持ち、それに従い行動しなさい!』と、ヴァイニング夫人が教えていたからだったのでしょう。学校でだけではなく、夫人は、個人的な「家庭教師」でもあったのですから、随分とアメリカの"クエーカー"の精神的影響を、明仁さまはお受けになっていらっしゃるのです。

多感で、何でも吸収し、人としての基礎づくりの中学生の時期に、 ヴァイニング夫人から、家庭と教室で受けた公私に亘る薫陶(くんとう)は大きかったのだろうと思われます。間もなく退位され、ご子息に譲位されようとしています。皇太子さまが、『外務省にいたら、初の女性事務次官になれた方でした!』と言われたほどの雅子さまの支えで、その重責を、十二分に果たせる様に、願っております。

(学習院のヴァイニング夫人の教室、夫人の左側に少年明仁さまがいます)
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