蚊帳の外

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 中国の蚊も、日本の蚊と同じで、私が好きな様で、華南の街では、真冬にも出没して、私を幾度となく刺したのです。それで、在華中の13年は「蚊帳(かや)」を広げて就寝していました。それでも蚊帳の中にあやつは、隙を突いて侵入して来るのです。

 「蚊帳の外」と言う言葉があります。そこは危険地帯で、蚊の攻撃を受ける場所のことです。でも意味は少し違っています。集団の中で、故意に大切な情報を知らされなかったり、物事に関与できない立場におかれて、「無視されること」を言っています。「孤立」や「仲間外れ」になることです。

 〈いじめ〉の中で、この〈無視される〉ことは、とても辛い経験でした。戦後、占領軍のマッカーサーに遣わされた、多くの宣教師が、東京の北多摩郡にの街に来られて、しばらくの間、日本語や日本文化を学んで、そこから全国に、その働きにために散っていったのです。家内の母親が、この人たちに日本語を教えていました。そう言った関係で、アメリカから送られてきた物資を、個人的な関係で、衣服などをもらったそうです。

 家内は、その古着を着て学校に行きますと、ボロを着ていた男の子たちの羨望の的になり、それが〈いじめ〉になっていったそうです。古着や着ていた家内が悪いのではなく、物のない時代が生み落とした〈いじめ〉だったのでしょう。〈いじめ〉られて、『何すんのよ!』と報復ができたらいいのですが、家内にはできなかった様で、ずいぶん傷ついたそうです。

 焼け跡のすさんだ社会には、いまでは想像できないことが多くあったのでしょう。そう言った経験があったので、家内は、弱い人たちに優しく接することができ、中国での13年にも、そう言った人たちの助けをすることが、家内にはできたのです。でも世の中には、悪質ないじめをする人が、子どもの間だけではなく、社会全体、国にもいます。

 蚊の話ですが、どうも特定の人が刺される傾向がありそうです。半世紀以上にわたって蚊を研究してきた元東大教授・池庄司敏明さんに、『どんな人が蚊に刺されやすにですか?』と質問しましたら、『体が大きい人(太っている人)は蚊も見えやすいし体臭も多いから、刺されやすいね。体温が高い人、汗をかきやすい人も刺されやすいです!』と答えています。

 いじめと蚊とに、刺される対象が似ていて、いじめっ子はいじめられっ子の匂いに敏感に反応して、〈刺す〉のです。蚊に刺された後の痒み止めがなくて、娘が「キンカン」を空輸してくれたことがありました。いじめに効く薬もあるはずです。香港の周さんが、禁固刑の判決を受け、刑務所に入獄したとニュースが伝えています。公平な裁判なしの判決で、蚊よりも酷い仕業です。中国の蚊も同じで、情け容赦なく強烈でした。その「蚊帳の外のこと」を、天は一切をご覧になっておいでです。

(香港の国花の「バウヒニア(Bauhinia blakeana)」、俗に香港蘭 “ Hong Kong orchid tree “ と呼ばれることもあります)

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