味覚の秋

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 幼稚園に、子どもたちが行ってた頃、借りた農地に、サツマイモの苗を植える、農業実習がありました。『お父さんたちに助けて欲しいので、ぜひ・・・』との事で、参加しました。地方都市で、おじいちゃんの家の多くが農業で、サツマイモの苗植えなど珍しくなかったのでしょうけど、秋になっての収穫までの間、『美味しいサツマイモを食べられるよ!』と言う、生育を楽しむ事だったのでしょう。食欲旺盛のわが家の子どもたちは大喜びでした。

 秋になっての収穫の時期にも、駆り出されたのです。五月に苗植えをして、10月の収穫だったでしょうか、それまでの間、農地の所有者が世話をされていた様です。そんなことを忘れての収穫でした。嬉々として掘り起こして、収穫を楽しんでいた園児に、均等に配られて、家で蒸したり、調理して食べたのです。その時の味は忘れてしまいましたが、幼稚園の頃のことって、大人になってまで覚えているのでしょうか。それとも忘れてしまっているのでしょうか。

 華南の街に住んでいた時、友人宅にお邪魔した時に、実のオレンジ色のサツマイモをたくさんいただいたのです。家に帰って、早速蒸しました。まだ<秋深し>ではないのに、<芋蒸し>して食べましたら、絶品でした。故郷から送られて来るのでしょうか、田舎を持っている人は、収穫のたびに、送ってもらっている様です。

 その頃、上の階の方の所に、大きな竹籠いっぱいの「龍眼long yan」が送られてきていて、お裾分けしてもらいました。まさに「龍の眼」の様な感じですが、口当たりが良く、冷やして食べると美味なのです。日本でも輸入品がありますが、確かハワイにもあったと思います。夏の初め頃の果物です。

 日本のスーパーでも売っていたのですが、「紫芋(サツマイモの一種です)」が、華南の街でも売られていて、とても美味しかったのです。収穫の時期になって出回ると、買っては食べていました。食べ物の「季節感」とは好いものですね。この週初めには、「無花果(いちじく)」が、スーパーの果物売り場に並べてあって、つい手を出して買い求めてしまいました。初秋の果物でしょうか。小学校の下校時に、無花果泥棒をしたのは、知人の家で、先日メールに書いたら、子どもの頃を笑われてしまいました。

 まさに「味覚の秋」、涼しくなって食欲が解き放たれて、<美味しい物だらけの秋>の到来です。食べ過ぎに気をつけなくてはなりませんね。美味しい桃をいただいて、満足しています。自然の中で、農業をなさる方が工夫をし、世話をして美味しいものを作られるのは、感謝でいっぱいです。そろそろ、「栗」も「柿」出てきそうですね。
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