記憶の中だけ

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 コロナ禍で、《しなければならないこと》があります。外出から帰宅した時に、手の消毒、うがいの他に1つ増えたのです。今は6週に一度、家内の通院になっていますが、通院予約日を遡る、2週間前から、付き添い人の私の「検温」です。その他に、県外に出掛けたことや人混みに出掛けたことなどの有無を記録して、家内の通院の窓口に出さなければならないからです。

 家内が、drugstore で買ってきてくれた体温計は、脇に挟んで、ものの10秒ほどで表示されるのには驚きです。もう振ったりしないですむ体温計なのです。大体、平温の36.336.6℃の間です。この「体温」ですが、経済にも温度があって、「経済の体温計」で測られる数値があるのです。

 総務省が行っている「消費者物価指数」を、そう言うのだそうです。5年ごとの調査報告画なされているそうで、品目は585あって、毎回30品目が新たに加えられたり、30品目が削られたりしています。昔、家にあった固定の黒電話などは、もうほとんど使わなくなったので、とうの昔に外されています。社会の変化、嗜好の変化、新しい物の誕生など、q時代遅れの物は消えていくのでしょう。

 この消費者物価指数は、各家庭で消費する物や Service の値動きを示す経済指標を表示しています。経済の活況や停滞の様子を表すので、健康状態を表す「体温計」に似ています。品目ですが、幼稚園の運動会や学芸会で、お父さんたちが、左手で持っていた「ビデオカメラ」は、もう「スマホ」に替わってしまっています。小型化、廉価化、多用化など、入れ替わりは激しそうです。

 買い出し当番で、「密」を避けながら、何軒ものスーパーマーケットに、私は出掛けていますし、週一の宅配生協の物もお願いしています。昔はなかった物が、店の case の中に置かれてあるのです。「カット野菜」」、「ベビーリーフ」、「サラダチキン」とか、健康食品と言われるサラダ関係の食材が多く出回っています。健康保持のための supplement なんかもあったりで、父や母の時代は「養命酒」と言ったものがありましたが、父も母も飲んでいませんでした。

 それ時代の動きを、経済の面で捉える興味深い統計指数です。実は、「統計」に興味があって、一旦は、それを学び始めたのですが、教職をしたくて、変えてしまった背景が、私にはあります。数字やgraph の表す数値が、面白くて仕方がありませんでした。その道に行っていたら、違った人生が拓けたでしょうか。

 子どもたちがいなくなって、空の巣の中で二人で生活をしていて、しかもコロナ禍で、訪ねてくる人、出掛けて行く機会が極端に少なくなってしまった昨今、わが家でも、「映像通信」が多くなっています。カメラで撮って、filmを現像に出して、焼き付けをしてもらったのを、封筒に入れて、切手を貼って送った時代が嘘のような今です。

 携帯のスマホで、撮影から送信まで、ものの20秒で完了です。しかもその映像を、孫たちは加工してしまうのです。巻かれた film も消えてしまっています。きっと探せば、どこかに売っているのでしょうけど、写真の DPE はもう、街中では機能していないようです。だからでしょうか、紙芝居屋も、チンドン屋のおじさんもおばさんたちも、記憶の中だけです。

(ベビーリーフです)

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