『アッ、やっぱり日本だ!』


 昨晩、仕事のために一時帰国した娘と、次男と三人で新宿の街で落ちあって、食事をし、買い物をしました。この街は小学生の頃から、たまにやって来ては歩いていた街でしたし、ことのほか学生の頃には、友達とワイワイやっていた街の一つでもありました。ですから、熟知とまでは言いませんが、まあまあの新宿通だったかも知れません。私の職場の本部が市ヶ谷にありましたので、会議がはねると、決まって新宿で下車しては、西口の飲食街の一角でご馳走になったのです。あの時の上司も他界されたと聞いていますので、昨晩、その西口の様変わりした街を歩いて、思い出してしまいました。東京大学の法学部をでたエリートでしたが、官界には入らないで、私学教育界で活躍された方でした。長崎の壱岐の出身で、お酒の好きな人でもありました。会議録を書いて出しますと、『駄目!書き直し!』と言われて、なんども書き直させられました。そんな上司でしたが、生意気な私を、よく連れ歩いてくれ、奥多摩の山を一緒に歩いたこともありました。この新宿の街を、酔って歩いていたこの方の後ろ姿が見えるようでした。

 もうすっかりお酒をやめてしまている私ですが、昨晩は、酔客がそぞろ歩いている間を子供たちの後について歩いていました。新宿の西口には、父の会社の一つがあって、何度か連れていってもらったことがありました。まだ淀橋浄水場があり、工学院大学の校舎が見え、都電が走っていた頃ですから、都庁や住友ビルなどの高層建築物などはありませんでした。昨晩、9時過ぎの新宿西口の飲食街、最盛期に比べると人通りが少ない感じがしました。やはり景気低迷の影響があるのでしょうか。

 パソコンや携帯電話関係の製品を買いたいというので、ヨドバシカメラの店内に、ついて入りましたが、そこは若者で混雑していました。ものすごい種類と量が店内いっぱいに並べられていて、ここばかりは景気がよく、需要が多いのだと分かりました。いくつもの製品を手にとってみました。ほとんどが、 Made in China でした。その他の販売館にある製品を確かめて見ることはできませんでしたが、そこも同じなのでしょう。これほどのものが中国で作られて、日本中、いえ世界中に輸出されているといった、中国の工業生産力には、今更ながら驚かされた次第です。このヨドバシカメラには、中国などからの旅行客がやってきて、旺盛な購買力で買って帰られるれるようです、自国で生産した製品、もちろん、パナソニックとか sony とか toshiba などの日本メーカー品ですが、それを持ち帰るのです。パソコンや携帯などの先端のメディア製品は、若者にとっては必需品になっているのでしょうね。どのように使うのか、まったく見当のつかないような製品が店頭に並んでいて、見ているだけでめまいがしてくるほどでした。

 三人で食べた夕食は、とても美味しかったのです。一昨日も、長男と孫たちで回転寿司に行き、ご馳走になったのですが、昨晩も「焼き牛タン定食」を食べたあと、同じような回転寿司店に入りなおして、喰い改めたのです。お菓子の安売り店に入って物色した後、娘は会社が用意したホテルに帰り、次男と私は代官山の家へ帰りました。つい満腹以上に食べてしまった帰り道がきついかったのは勿論のことでした。時々、地震で揺れている日本の首都ですが、平和で、豊かで、雑踏の中にも、満員の電車の中にも、どこかすました様子があって、『アッ、やっぱり日本だ!』と思わされること仕切りでした。

(写真は、新宿西口午前0時の様子です)