東日本大震災で被災し、仙台市内のビルの屋上で立ち往生して約8時間後に救出された中国人女性の手記が中国のインターネットで話題を集めている。
「約80人で救出を待っていた。私が貧血で倒れそうになると、赤ちゃん連れの主婦が粉ミルクを分けてくれた。駆けずり回って水を探してくれた若い女性もい た。…みんなの携帯電話のうち、つながるのは2つだけだったが、中国人の私に真っ先に使わせてくれた。その後、行列をつくり1人ずつ家族に電話をしていた」と救出までの様子を紹介。「私を支えたのはミルクではなく、彼らの優しさだった」と日本人への感謝の気持ちをつづった。
この手記は多くのサイトに転載され、「感動した」「がんばれ日本人」といった感想が数多く寄せられた。震災以降、中国のネットで定番だった反日的な書き込みが減少し、このような日本応援のメッセージが急増している。
中国政府の愛国主義教育やテレビで毎日のように流される抗日ドラマにより、旧日本兵の残虐ぶりをたたき込まれている中国の若者たち。ただ今回は、メディア の震災報道やネット情報などを通じて、秩序を守り、他人を思いやる日本人のありのままの姿を知ることができた。それが善意のメッセージ急増の原因に違いな い。(矢板明夫/msn産経ニュース・北京春秋・110405)
(写真は、中国の世界遺産、「万里の長城」です)