過ぎたるは

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ネットで、ニュースを読んでいますと、どうも世相が、「殺伐(”goo辞書”[形動][文][ナリ]殺気が感じられるさま。また、潤いや温かみの感じられないさま。「見えない手の揮 (ふる) う剣の光が、もう一度彼を―な争闘の心につれて行った」〈芥川・老いたる素戔嗚尊〉」としてきているのではないでしょうか。ちょっとしたことだと思えることに、不愉快を覚えるのでしょうか、言葉荒く非難し、要求する人が増えています。

帰国時に、市役所で、留守の間にしなかった市民としての義務の届け出や支払いで、市庁舎の中を行ったり来たりしていた時、「納税課」の前の椅子に座っていた、40才ほどの男性が、大声で自己主張を繰り返していました。担当課長もいたでしょうか、係が3人で対応していて、この人が『金を返せ!』と横柄に言いながら、喚き散らしていました。手のつけられない状況に見えたのです。

ピリピリした空気が、二階の他の部署まで張り詰めていました。どなたかが警察に通報して、制服の警察官が四人やって来て、この人の背後で、彼の主張を聞いていました。警官の前では、流石のこの人も声を落として、ボソボソと言っているのが聞こえてきたのです。こう言った「迷惑行為」に、店などで、時々出くわすことがあります。

流通業などが加盟する産別労組「UAゼンセン」が5万人を対象に行った調査の報告があります。従業員の約7割が、迷惑行為を受けた経験があるのだそうです。その迷惑行為の内容は、「暴言」27・5%、「同じ内容を繰り返すクレーム」16・3%。「土下座の強要」も1・8%でした(複数回答)。随分、大きな数字になっているようです。

いわゆる"サーヴィス"の仕事をしている人たちは、その対象者に、<サーヴィス優先>が過ぎているのも気になるのです。飛行機のアテンダントの仕事ぶりを見ていて、こちらの航空会社と日系の航空会社のサーヴィスは、歴然として違います。今回の帰国で、日系の便に搭乗したのですが、ひっきりなしに乗客の必要に届こうと目配り、気配りをしていました。『こう言ったサーヴィスをする様に、マニアルにあるんだろうけど、疲れないかな?ストレスは大きいのでは?』と思ったのです。<程々>で好いのです。

余りにも《お客様》扱いをし過ぎているのではないかと思います。こちらの様に、あまりにも素っ気ないのも、『どうかな?』ですが、《おもてなし》も行き過ぎてはいけないのです。私の兄は、<名物ホテルマン>でした。宿泊客に抜群の支持を得ていました。それは『ここに泊まって好かった!』というサーヴィスに腐心していたからです。海外からの宿泊客とは、こちらからx手を延べて握手を常にし、対等な立場も示していたほどでした。《へつらいし過ぎないサーヴィス》に徹していたのでしょう。

ですから休日にはゴルフに誘われる様なこともあり、次回の利用時には、お土産までもらうことが多かったそうです。アルゼンチンのブエノスアイレスに行った時に、入ったレストランで、ウエーターが、『これこそがプロフェッショナル!』と言えるほど、誇りと自信で、毅然と給仕しているのを見て、流石だと思ったことがありました。客は<求め過ぎ>で、サーヴィス業のみなさんは<し過ぎ>です。"過ぎたるは及ばざるが如し"、ですね。
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