北喜行の一日を

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  きのうは、栃木から北にある県都・宇都宮に出掛けました。ある新聞記事に、「北(に)げる」という言葉が出ていました。作家の五味康祐が、そう言った表現をしたのだそうで、「逃げる」を、そう表記しているのです。『通常、人は南から北に逃げるのだ!』そうで、だから「北げる」で好いそうです。日常から意を決して、距離を置いて離れていく行動なのでしょうか。

 「北」は、「敗北」の「北」なのです。「北」という漢字のルーツ(字源)は、『背を向けて離れる。すなわち、負けて「逃げる」ということ。』なのだそうです。極北、最北、朔北(さくほく)、北限などの言葉がありますが、みな〈最果て〉を意味しているようです。

『後漢時代、紀元100年頃に著された、中国最古の体系的字書「説文解字(せつもんかいじ)」には、「乖(そむ)くなり。二人相背(あいそむ)くに从(したが)う」と書いてある。・・・じつはこれ、二人の人が背中を向け合って立っているところを描いた文字なのだ。背を向けて乖離(かいり)する(はなれる)——これは「逃げる」ということにほかならない。つまり「敗北」とは、(戦いに)敗れて逃げるということなのだ。(「不思議な漢字―意外と知らない日本語の謎(志田唯史・文春文庫+PLUS)」)』とあります。

「北」の漢字の成り立ち・由来ですが、会意文字です。2人の人が背を向けて「そむく・にげる」を意味します。また、人は明るい南面を好むが、そのとき背にする方角「きた」を意味する「北」という漢字が成り立ちました。(「漢字の成り立ち・由来辞典」より)

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 東武宇都宮線で、家内の通院や、患者さんたちの交流会などで、この過ぎた一週間は、三度も宇都宮方面に出掛けたのです。この日曜日は、「まちなかメディカル・カフェ in 宇都宮」と銘打って、がん患者を中心に、医師、医療従事者、volunteer、家族などの恋流会です。順天堂大学病院で「がん哲学外来」の診療をされている、樋野興夫医師の主唱で全国で持たれている会なのです。

 2016年に、私たちの教会に来ておいでだった方の紹介で知って、集い始めたのです。『何でも話していいのです!』、そして、話したことは、その場で封じて、他言無用の決まりがあります。「ことば」の大切さや重さなどを理解しながら、「話し」、そして「聞く」会で、けっこう熱い会話がなされるのです

 そして、「南げる」をして、意気揚々と、励まされて帰ってきました。30kmほどの鉄路を往復したのです。でも、日常から逃げたのではなく、同じ意識を持つ方々との交わりで、互いに生きる喜び、戦いを分け合って、家内は、とても楽しんでいます。

 発会以来、12年目に入っての「記念会」でした。10ほどのグループ分けがなされて、最後には、「がんとともに健やかに生きる」と言う主題での講演が行われ、家内の主治医がお話しされておいででした。「十周年記念誌」に「どら焼き(感謝の文字がありました)」を手に帰路に着いたのです。まさに「北喜行」という一日でした。

 東武宇都宮線の西川田駅のちかくのカンセキスタジアムで、「TSC(栃木サッカークラブ」と、お隣の茨木市の「いわき」と対戦する試合が行われ、行きも帰りも、そこで乗降する応援のフアンでいっぱいでした。自分も、応援団、人生の戦いの選手であり、応援団であり、当事者であるのを再確認したのです。

(ウイキペディアのオリオン通り、中央生涯学習センターです)

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