皿洗い

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イスラエルの古書に、次の様にあります。

“あなたが畑で穀物の刈り入れをして、束の一つを畑に置き忘れたときは、それを取りに戻ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。
あなたがオリーブの実を打ち落とすときは、後になってまた枝を打ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。
ぶどう畑のぶどうを収穫するときは、後になってまたそれを摘み取ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。”

小麦、オリーブ、ぶどうを刈り入れする時に、畑の所有者は、困窮する人たちがいること、その人たちが生きる権利があること、彼らと共生することが求められています。それで収穫時に、畑の作物を全部刈り取りません。外国人や、みなしご、やもめが、自由に刈り取れる様に、畑に残すのです。私は、この掟を知った時に、聖なる衝撃を覚えました。

天津で1年、華南の街で12年間、私たちは生活をいたしました。華南の街に住み始めて一週間ほどの頃に、一人のご婦人が、私たちの住んでいた師範大学の学生寮に訪ねて来られたのです。広島県下の大学院で、法学を学ばれて帰国して、その街の法学部の教師をされていました。この方が帰国されて間もなくの頃でした。

滞華の間、私たちを何くれとなくお世話くださった方でした。この方は留学中、「米山奨学金」を受けながら、経済的な助けを受けて、学べたことを、とても感謝をされておいででした。その助けで学んで、博士号を取得されて帰国していたのです。


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この方が受けた「米山奨学金」と言うのは、「米山梅吉(静岡県駿東郡長泉町出身)」を記念した財団が行っている事業の一つで、これまで多くの外国人が、奨学金を受給されてきています。『今後、日本の生きる道は平和しかない。それをアジアに、そして世界に理解してもらうためには、一人でも多くの留学生を迎え入れ、平和を求める日本人と出会い、信頼関係を築くこと。それこそが・・・最もふさわしい国際奉仕事業ではないか。』と言う理念で、日本で “ロータリークラブ“ を始めた米山梅吉を記念した基金会なのです。

この米山梅吉は、三井銀行や三井信託銀行で働き、重責を果たしたそうです。ガンやハンセン氏病や結核を病む人たちへの助成を行った方でした。この方ご自身が、アメリカに留学をして、皿洗いをしながら苦学したこともあって、向学心を持ちながらも経済的に恵まれないアジアの若者への愛が、この奨学金金制度を生んでいます。

私たちは、人生後期でしたが、中国に留学し、語学学校と師範大学で学び、教壇にも立たせていただき、市井の倶楽部の活動にも加わらせていただきました。その間、物心両面で、中国のみなさんに支えられて、彼の地で生活をさせていただいたのです。帰国して一年半になりますが、家内の見舞いで、おいでくださったり、昨今では、マスクの寄贈などもあって、いまだに助けられており、感謝でいっぱいです。

(三島市と裾野市との間に位置する「長泉町(ながいずみ)」の風景,「写真AC」の皿洗いです)

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