いつの間にか、日本の学校では、「仰げば尊し」が「卒業式」で歌われなくなっているようです。この歌は、作詞者、作曲者が定かではないようですが、忘れられない歌の一つであります。1887年(明治17年)に文部省歌となり、多くの学校で学校で歌われてきました。
1.仰げば 尊し 我が師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば
2.互(たがい)に睦し 日ごろの恩
別るる後(のち)にも やよ 忘るな
身を立て 名をあげ やよ 励めよ
今こそ 別れめ いざさらば
3.朝夕 馴(なれ)にし 学びの窓
蛍の灯火 積む白雪
忘るる 間(ま)ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば
昨日、私の弟からメールがありました。『・・・さて、昨日3/1(金)、本年も例年のように高等学校3年生の卒業式を迎えました。幼稚園からの15年間の生徒も数名おり、12年間の皆勤者も出ました。すごいことです。その後、保護者主催の有名ホテルでの卒業パーテーでした。今年より、来賓としての出席ですが、何人もの保護者・卒業生から個々にお礼のあいさつがあり、残念ながら食事にありつけませんでした(一杯のジュースのみでした)が、教師冥利に尽きるとはこのことでしょう。純粋な高校生、羽ばたきの時と別れを惜しむ涙涙の会でした・・・』と記されてあったのです。
彼は母校に教師として勤務し、昨年三月をもって、管理職で定年退職しております。15歳で高校に入学していますから、人生の殆どの時を、同じ学び舎で過ごしてきていることになります。幼稚園の園児も教えたことがあり、多くの卒業生を送り出してきたのです。惜しまれて退職したのですが、退職後も、学校法人の理事、週3日、嘱託で、若い教員の相談やのクラブの世話、スキー教室の同行などをし続けているのです。《教師冥利につきる》という感慨は、素敵なものでしょうね。きっと卒業生の心の奥には、「我が師への恩」があればこそ、親も子も、恩師とともに涙を流しつつ、《感恩の情》にむせぶのではないでしょうか。実に羨ましいものです。
(写真は、日本最古の学問所建築(仙台藩)の「有備館」です)