もう何年も前のことになりますが、天津の街で生活していた時に、政府関係の車両が庁舎から出てくる様子を、道路の端で眺めていました。日本とは違って、一般的に道路の幅員は広くち作られていますが、政府関係施設の周辺は特別な地域になっていたのです。そこに出てきた黒塗りの高級車の走り方は、まさに〈傍若無人(ぼうじゃくぶじん)〉で、ブレーキなどを踏むことがなく、活きよいよく我が物顔で、車道の中に割り込んできたのです。
一般車両を全く無視した、その走行の仕方に驚いたのです。権威の濫用、思い上がった国家権力者の振る舞いは、民に仕える公僕、僕だと言う考えが、全くないのです。そこは、「人民共和」を国名にも定めているように、人民こそが中心で、役人は僕(しもべ)である国を作り上げたのに、実際は、古代国家にあった、あの「清(しん)」の時代の役人天国のままだったのです。
私たちの国には、「道路交通法」があって、道路は、万民が利用しているのです。隣国にも、その法律があって、ある公的機関の壁一面に、図示されてあるのを見ました。私たちの国では、皇族も政府高官も、その法律に服する義務があって、例外や特権はないのです。
先頃も、皇居から一般道に、天皇ご夫妻の乗車した車列が出ようとされた時に、救急車両のサイレンが聞こえてきたのです。優先や特権で、止まらずに道路に出ることをしないで、停止線で止まって、病人を搬送する救急車の行く道の邪魔を避けたのです。
その救急車も、一瞬驚いたようでしたが、人命優先、法に従って、走り抜けて医療機関に向かったのです。それこそが、民主国家の有り様であって、国家の象徴である天皇であっても、この道路交通法に服されたのです。
「道路交通法」には、次にようにあります。
(緊急自動車の優先)
第四十条 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、~一部省略~ 車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない。
2 前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号)
また、「消防署便り」に次にようにありました。
『 消防車や救急車は、一刻も早く現場に急行し、 消防活動や応急処置を行わなければなりません。このため、消防車や救急車などは「緊急自動車」として、緊急時に一般の車両よりも優先して 走行することが法律で認められています。
消防車や救急車などの緊急走行
300 メートル離れた位置でも発光が確認できる 赤色か黄色の警光灯を点滅し、90 デシベル以上の サイレンを鳴らし走行。前照灯は上向き点灯が推 奨されています。法定最高速度は時速 80 キロ(高速道路の対面通行でない区間は時速 100 キロ)で す。赤信号や一時停止標識で停止する必要はあり ませんが、徐行して安全確認を行う義務があります。』
天津の市政府の小役人が、特権を振り回して、強引な走行をしていく姿を見て、国の役人、政府の高官、主席は、どれほどの特権を発動していることかと思わされたのです。もちろん車の中に、役人がいて、どれほど偉そうな顔をしていたかを見極めることはできませんでした。でも推して知るべきでしょう。
羽田空港から北海道に飛んでいた航空機に、一人の国会議員が搭乗していたのです。この議員が、客室乗務員に、横暴な振る舞い、偉そうな言動をしていたそうです。その様子を眺めていた、ある歌手が、そのことを、名指しで非難していました。議員さんの責任は大きいし、影響力も大きいわけです。
この歌手は、黙っていられなかったようです。命懸で乗客の保安業務や機内サービスで世話をしているCA(CabinAattendan)に対して、礼や感謝を失した振る舞いに、この方は、堪忍袋の緒を切ってしまったのです。時代劇に出てくる、あの悪代官と同じ輩が、平成の代(よ)にもいるのです。
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その反面で、謙虚な天皇の主催の春の園遊会が、先頃、赤坂御苑であったそうです。これまで一度もお招きいただいたことのないのが、私は残念なのですが、何の功(いさおし)のない私には、そんな機会はなさそうです。でもやがってやってくる天国には、神さまの主催の園遊会があるのでしょう。その席にはべる望みをもって、今は我慢しましょう。
そういえば、今日から五月、一昨日、二日早く、「柏餅」を手に、近所のご婦人が、わが家を訪ねてくださったのです。『やっぱり日本茶がいいわね!』と、家内はお茶を淹れてくれて、春の味覚を感謝しながら味わったのです。柏の葉の香りに、懐かしい思い出が呼び覚まされるようでした。今日は雨の予報で、「皐月晴れ」は望めそうにありません.好い月をお過ごしください。
(柏餅、ウイキペディアの1860年代のアメリカ南北戦争で使用された馬車救急車、赤坂御苑の遠望です)
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