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1965年の6月9日の毎日新聞が、経済大国日本なのに、岩手県下には、まだ『欠食児童がいる!』という記事を全国版に載せたのです。それは自分はお腹いっぱい食べていた二十歳の学生身分の頃のことでした。
時の総理大臣が、佐藤栄作でした。一国の宰相は、その報道に衝撃を受けたのです。『今なお欠食児童がいるのは政治の責任だ!』と言って、大臣の席を立って、花巻空港に飛行機で飛んで、県域の80%が山地である、その岩手を訪ねたのです。『このような問題こそ、われわれ(政治家、政治責任者のこと)の考えるべきこと!』と言って、4億円を国庫から緊急に支出することを決め、閣議決定を、速やかにしたのです。
県下の小学校を訪ねた佐藤首相は、生徒たちの手をとって握手して回ったたと言われているのです。実に熱血の宰相でした。その時の様子を、生徒会の何人かが、手紙を出すのですが、その一通は、『国民の声をよく聞いて、政治に反映させるのは、本当に政治家の姿だと思います!』と手紙で感謝したのです。
事態に即応する政治の姿は、自分の所属する会派のお金にばかり思いを向けている昨今の政治家とは大いに違い、劣化甚だしい今を感じて、悲しくなってしまいます。
この岩手県は、古来、〈にっぽんのチベット〉と言われた貧しい地でした。仙台に向かって流れていく北上川には、人減らしで、生まれて来たわが子を水に流したという悲しい現実のあった地なのです。ところが、今や、アメリカ球界の寵児と言われる、193cm、95.3kgもある大谷翔平は、奥州市の生まれ、花巻東高校の出身です。60年の今昔、欠食児童のいた県が産んだ野球選手が、信じられない契約金を得ている違いに驚くのです。
岩手県人の今昔、政治家の今昔、さまざまに違いのあるのに驚きながら、世界の三分の一の人たちが、いまだに貧困と戦い、人類全体が、将来に不安を覚えて今を生きているわけです。それにしても、佐藤栄作の即弾力や行動力には驚かされます。
(ウイキペディアによる岩手県花の「桐の花」です)
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