江戸切子

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 「ぎやまん」、「ビードロ」とか昔は言われたガラスですが、考古学で、三内丸山遺跡からは、ガラス球が出土されていて、ずいぶん古くから、わが国には、ガラス製品が珍重されていたようです。光を受けて神秘的に屈折するので、珍しがられてきたようです。

 先週、中高と6年間在籍した母校から、「江戸切子」が送られてきました。開校記念に、感謝を込めて協賛や感謝の気持ちを表したことへの贈り物なのです。江戸時代の後期に、加賀屋久兵衛が始めたガラス細工で、江戸の大伝馬町で始まったようです。

 何かを蒐集したりする趣味のない自分ですが、頂いてみると、ガラスへの切り込みが綺麗で、光が屈折して見ることができ、実に美しい物です。落として割らないようにしていますが、茶箪笥か、床の間か、高級品や飾り物の棚があったら、そこに収めるのがいいのでしょう。

 天然自然の草や花にばかり関心が向けられてきていますが、ガラス細工もいい物です。しばらく私たちの教会においでだった方が、鍛金(たんきん)をされていて、よく個展を開いておいでで、その案内をいただいていました。サンパウロ大学で美術を専攻された方で、銅板を叩いて、制作をしておいでなのです。

 この方のお父さまは、江戸の彫金の職人、芸術家でいらっしゃったようです。江戸文化は、いろいろな分野が盛んだったようで、伝統工芸が盛んな街だったのです。先週末、市立美術館で、浮世絵展をしていて、家内と出掛けてみました。江戸時代の爛熟した文化の一つで、享楽的なものばかりではなく、子どもたちへの教育の教材などがあって、子ども遊びや虫や魚などが、一枚の絵の中に描かれて、図鑑のようなものが見られ、新発見をしたのです。

 もう60年も前になりますが、横浜のデパートで、鏑木清方の個展があって、そこでの警備のアルバイトでしたことがありました。明治から昭和にかけての日本画家で、浮世絵師と俗ぽく呼べない作家でした。それでじっくりと、美人画を見る機会がありました。江戸の文化を引き継いだ作家で、健全な絵ばかりで安心したのです。

 日本人の器用さに、今更ながら驚かされています。中国から伝わった芸術を、より精密に受け継いで、工夫発展させている点で優れているのです。絵の描き方に、精緻さがあって驚くほどです。筆の乱れなどなく、驚くほどに描写力が優れているのです。そういえば、「芸術の秋」を迎えているのに気付いた次第です。

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