動く愛

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 『見よ。やみが地をおおい、暗やみが諸国の民をおおっている。しかし、あなたの上には主が輝き、その栄光があなたの上に現れる。 (イザヤ書60章2節)』

 「面前に三尺の闇」と言います。人の一生に、予期せぬことが待ち受けているからです。ここには「闇」とありますから、好ましく思わない、願わない出来事が待っていると言うのでしょう。

 まだ長男、長女、次女、次男が学生の頃から、お世話頂き、いろいろ教え導き助けてくださった方のご主人とお嬢さんとが亡くなられて、その夜も、御主人の60回目の誕生パーティに招かれて、近くに住む次女家族が行こうとして準備してる矢先の悲報だったそうです。

 次女の二人の子どもたちも、お嬢さんを姉の様に慕い、一緒に育ったので、それは大きなショックを受けているのです。でもやっと数日が経って、現実を受け入れる様になって来ている様です。

 この方のご両親は、子育て中に、家内と私と子どもたちを、たびたび家に招いてくださって、数日泊めていただき、交わりを持たせてくださったのです。滞在中、お子さんたちは、自分の部屋を、六人の私たちに提供してくださって、どこかに潜り込んで眠られ、そんな犠牲で迎えてくれたのです。

 二階の食堂兼居間は、まるで木漏れ日が差し込む様に温かくて、アメリカの匂いがして、何よりも愛が溢れていました。「パン屋の娘」だと言う奥さまは料理上手で、美味しくもてなしてくれたのです。私たち六人家族にとってはまるで「避難所」でした。
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 その奥様は、ご主人を20数年の前に亡くされ、在米のお嬢さんの家に迎えられて、老後を長女や、次女の家で過ごされ、今年97歳だと言ってきています。このご家族に真似て、人々を迎えられる家族でありたいと願って、私たちも見倣いながら生きて来ました。

 とくに華南で住んだ家には、多くの人が入れ替わりでやって来られました。アメリカに留学されていて、今夏街に戻られた大家さんが、『家を綺麗に使っていただき、多くの人が、やって来られて、温かく迎えてくださって、好い交わりのために使っていただいたと聞いて、とても嬉しいです!』と、先日FaceTimeでおっしゃっていました。

 このご家族を亡くされたお嬢さんの弟さんが、静岡県下に住んでおられて、私たちが帰朝するたびに、彼のご両親がそうであった様に、私たちを招いてくださって、温かく迎えてくれました。そこに何度お邪魔したか知れません。中国に行こうとしていた時、実家のない私たちの子どもたちに、『私たちの家を実家だと思って帰って来る様に伝えてくださいね!』と、妹さんも言ってくれたのは嬉しかったのです。
 
 先週、悲しいニュースを聞き、どう慰めていいのか分かりませんが、お世話いただいた私の子どもたちのうち、次女の家族が近くにいますので、心理的にも地理的にも一緒にいて上げれる様です。

 “ GoFundMe “ を、次女の主人が立て上げて、この方を経済的に支えて行こうとされています。すでに多くの方たちが、それに賛同していらっしゃるようです。まさに優しい愛が動いています。

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