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「ヒトラーを憤慨させた黒人のヒーロー(ジェシー・オーエンス)」
[投稿者:T. Konagai Blog- ドイツ に投稿]
平和の祭典でもあるオリンピック。当然、どの時代も『平和』だったわけではない。1936年のベルリンオリンピック。当時ドイツを支配していたのはナチス。ヒトラーはこのオリンピックでアーリア人の優秀さを世界に知らしめようと気合が入っていた。そんなヒトラーの顔に泥を塗った黒人のヒーローがいる。アメリカの陸上選手、ジェシー・オーエンスだ。
ナチスと言えばユダヤ人迫害で知られているがいわゆる白人至上主義であったため
非白人に対する差別もひどいものであった。スタジアムにいる全員が総立ちでナチス式敬礼をする異様な雰囲気の中、まず、オーエンスは男子100Mで10秒03という世界新記録で優勝。白人の優秀さを見せつけるはずだったヒトラーはおもしろくない。
次の走り幅跳びではルッツ・ロングがドイツ政府の期待を一身に浴びていた。金髪で背が高く、ハンサムな彼は正にヒトラーの掲げる理想の白人だ。予選ではそのロングが新記録を出すがオーエンスはファールで後がなくなってしまう。そんなオーエンスにロングが『もう少し手前から飛ぶといい』とアドバイスをしたと伝えられている。
ヒトラーの目の前で黒人を助けたのだ。オーエンスは見事に予選突破し、そのまま決勝でロングを破り2つ目の金メダルを手にする。 表彰台から下りた二人は仲良く腕を組んで歩いた。
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ドイツでもアメリカでも黒人が差別される中での2人のスポーツマンの友情である。
あのルドルフ・ヘスから『2度とニガー(黒人)と抱擁するな』と言われたロングが
オリンピック銀メダリストであるにも関わらず前線に送られ30歳で戦死しているのはこの出来事が関係しているのかもしれない。
続く200Mでも2位の選手に体2つ分差をつけて優勝。3つの金メダルを獲得したオーエンスはヒーローとなった。彼にサインを求め、賞賛する民衆の姿を目の当たりにし、ナチスは、ヒトラーは憤慨する。
更に400Mリレーでアメリカ代表として出場するはずだったマーティン・ドリックマンとサム・スティラーが直前になって交代させられたのだ。二人はユダヤ人だった。ユダヤ人を走らせるくらいなら黒人を、ということ。結局オーエンスはリレーでも金メダルを獲得し一人で4つの金メダルの快挙を成し遂げた。本人はマーティンとサムに申し訳ないとあまり喜びは表さなかった。
オリンピックの後、アメリカ本国でヒーローとして迎えられたが結局差別はなくならず、ホテルに入るときも従業員用の入り口から入らなければならなかったり、馬と競争させられたりと扱いはひどかったという。
Jesse Owens – Der schnellste Mann der Welt
*この内容はARDの”Jesse Owens – Der schnellste Mann der Welt”
の内容を簡単に日本語でまとめたものです。
上記のリンクから本編(ドイツ語)が見れます。