一番星

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JRの中央線は、高尾と東京を結ぶ、通勤電車です(今では大月駅まで延びている電車もあります)。東京に越して来た父は、住み始めた街の旧国鉄の駅から、この路線で神田駅、新宿駅、東京駅、浅草橋にあった、自分の会社に電車通勤をしていました。私も、中学から大学、社会人になっても中央線、山手線を使って通学通勤をしました。今ある快速とか通勤快速とか特快のない時代で、一駅一駅の各駅停車でした。

最近、帰国の度に、JRや地下鉄やバスを利用するのですが、とくにJRの駅に停車中に聞こえるのは、駅名や乗り換え案内やベルの音ばかりではなくなってきています。短い停車時間に、「童謡」などの短い部分が、プラットホームに流れていて、電車の中でも聞こえて、なんともなく和やかにされ、郷愁を感じさせたれています。

八王子駅では、「夕焼け小焼け」が聞こえています。この作詞者は、八王子(当時は恩方村です)の生まれで、小学校教師の中村雨紅でした。“ウイキペディア”に、『代表作は故郷恩方の風景を歌った『夕焼小焼』。1919年(大正8年)作詞し、1923年(大正12年)草川信が曲をつけた(文化楽社『文化楽譜―新しい童謡―』掲載)。この歌はピアノ練習用の譜面帳に掲載されていたが関東大震災で紙型から何から一切灰になってしまった。わずかに人手に渡っていて奇跡的に焼失を逃れた13部から、日本の代表的な童謡の一曲となった』とあります。

夕焼け小焼けで日がくれて 
山のお寺の鐘がなる 
お手々つないで皆帰ろ 
烏と一緒に帰りましょう

子どもが帰った後からは 
円い大きなお月さま 
小鳥が夢を見る頃は 
空にはキラキラ金の星

私は1年間、この八王子に住んで、大和田分校に通いました。また学校を出た後に、3年間、この街にあった職場で働いたことがあったのです。ですから、とても懐かしく、この「ゆうやけこやけ」を聞くのです。華南の街の夕暮れ、バス停から道路を挟んだ向こうの空に、ひときはキラリと輝く「一番星(宵の明星)」が見えます。だいぶ日が短くなってきています。そうすると何だか、『凖ちゃーん!』と、帰宅を促す母の声が聞こえてきそうです。

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