オカッパ

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中国の街に住み始めてから、街の風景が大きく変わってきています。その一つは、道路が整備されてきたことです。信号機が設置され、道路の幅員が広げられ、中央に分離帯ができ、歩道には、点字マークも入れられてきました。ただ、歩道に電気自転車が、結構速度が速く通り抜け、時々、乗用車が走ったりしているのには、迷惑されているのです。それと、信号の待ち時間が長いことです。なかなか青信号に変わらないのは、忍耐の学習です。

その他には、「幼稚園」が、たくさん増えたことです。「小区」ができると、新居を購入して住む若い方の所帯に、子どももが与えられて、その子育てを助ける意味で、ほとんどの小区の正門の脇で、開園しています。前に住んでいた小区の幼稚園は、300人もの園児がいて、大賑わいでした。毎朝、軍服を着た四人ほどの上級生でしょうか、国旗をかざして入場し、掲揚のポールに掲げて、朝礼をしています。

やはり「愛国教育」を、幼い日から施しているのです。先生たちから号令がかかり、統率のとれた行進をしていて、"小軍隊"の様にも感じられます。そこでは、よく先生たちが入れ替わっていました。院長が厳しいからでしょうか、傍目に”ピリピリ感”が伝わってきていたのです。幼児教育は、一番難しい教育ですので、しっかりと明確な使命感を持たないと、続かないのも一つの原因かも知れません。

九月の入園の時期には、園内から鳴き声が聞こえ、登園時に、尻込みをして親に、『帰りたいよう!』と泣いたり、渋ったりしている子がいて、送って来たお父さんやお母さんやおばあちゃんを困らせている光景を、よく目にしました。どこの国でも見られる光景でしょうか。わが家の子は、まだ就園してないのに、留守の間に帽子やバッグをつけたりし、兄や姉にくっついて行こうとして止めるのが大変でした。

こちらの登園や帰宅の際の光景が、こちらでは独特なのです。おじいちゃんやおばあちゃんが、孫のカバンを背負って手を引いているのです。これは小学生でも同じで、重いカバンを、ずしりと感じさせるのも、学習が厳しいものであるということ、忍耐力や自立心を養い育て、お教える機会なのに、それを奪ってしまっているのです。

『孫に重いものを持たせて、なんという爺婆だ!』と言われたくない心理もありそうです。何でもやってもらえる依頼心の強い子どもが出来上がってしまったら、後が大変ですね。ほとんどの子どもは、二人の両親と四人の爺婆を背後にした《王子様(こちらでは"小皇帝"》になってしまいます。

これって、山の中で育って、幼稚園に行かせてもらえなかった私の<やっかみ>かも知れませんね。ただ、こちらの子どもたちが、愛情深く育っていることは確かです。でも、この間、結婚式に行って会った、一人の幼児は、"オカッパ"頭の「ちびまる子」みたいで、随分昔の小学校時代の同級生を思い出してしまいました。みんなテレビに出てくる子役の様に、ブランド品を身につけて都会的になっている中で、郷愁を感じさせられて、何となく"ホット"させられたのです。
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