先日、師範大学附属中学のバス停から乗って、南街のバス停で乗り換えて、西湖公園まで行きました。バスに乗り、空いていた席に座りましたら、何か聞き覚えのある音楽が聞こえてきたのです。どのバスに乗っても、ほとんど同じチャンネルのFM放送が流れているのですが。中国語で歌っていますが、メロディーは、日本のものなのです。曲名が出てきません。しばらく聞き続けていましたら、『そうだ、[神田川]だ!』と思い出したのです。日中間の関係がギクシャクしていている、この時期に、南こうせつ(「かぐや姫」)が歌った歌、
あなたはもう忘れたかしら(你也许早已忘记) 赤い手拭いマフラーにして(将红色手帕当做围巾) 二人で行った横丁の风吕屋(两人一起走进街边的澡堂)・・・・・・・
これを聞こうとは思いもしませんでしたから、バスの中の乗客の顔を見回してしまいました。この歌が、まさか日本の歌が原曲だと知っている人はいなかったのではないでしょうか。「吉野家」が、市内に4店舗もあるのですが、これも日本の店だと知っている方は少ないようです。天津にいましたときに、ドイツから来ていた方が、日曜日の朝の講演会が終わったあとに、『おいしい店があるので、一緒に寄って行きませんか?』と誘ってくれたのが、この「吉野家」でした。『この店は、日本の“牛丼“の店ですよ!』と言いましたら、驚いていたのを思い出します。
FMラジオの番組担当者は曲の選択には、特別なこだわりはないようで、なんだか、安心した気持ちで聞いていました。
窓の下には神田川(窗户下面就是神田川) 三畳一间の小さな下宿(一间小小的房间)・・・・・
世界遺産に指定されている「武夷山」から流れ出ている、「闽江(minjiang)」を横切るバスの中で、三鷹にある井の頭公園の池から流れ出て、江戸の飲料水を提供した生活用水路・神田川の歌を聞くとは、こちらに来る前に日本にいたときには、考えもしませんでした。
去年も、学校に行きます時に、『さくら、さくら・・・』と、日本語で歌う歌が聞こえてきたのです。
霞みゆく景色の中に あの日の歌が聴こえる さくら さくら 今、咲き誇る・・・・・・
日本の国花は、菊の他に「桜」ですから、歌詞の中に「さくら」がある歌を、「牡丹」を国花とする中国の街中で聞いたのも、不思議な気持ちがいたしました。もう何年も前になりますが、「北国の春」や「四季の歌」が、この中国で、盛んに歌われたことを思い返して、この日本調のメロディーは、アジア圏で共通して好まれるものなのでしょうか。25年ほど前に台湾を訪問したときに、どの街の公園でも、年配の方々が、日本の演歌を歌っていました。
若い人の芸術文化には、国境がないのでしょうか。一緒に、心を高揚させ、生きることを激励する歌を歌って、中日交流を推し進めていきたいものです。南こうせつが、同窓だったのを知ったのは、ついこの間のことです。