.
「神である主は人を取り、エデンの園に置き、そこを耕させ、またそこを守らせた。(創世記2章15節)」
アジア人が、アメリカ社会で暴力被害を受けるニュースがよく聞こえてきます。西海岸のサンフランシスコを「桑港」と漢字で表記するのは、日本人や中国人が多く、ここで汗や涙を流して農業に従事した歴史を物語っています。アメリカの第一次産業に、アジア圏からの入植者、雇われ人が果たした役割は大きいのです。
繁栄の陰で、ヨーロッパからもアジアからも、きつく、汚く、危険な仕事をして、アメリカの社会を支えた貢献を、アメリカ人が忘れてしまったのでしょうか。農林水産林業などに従事する者を軽視するのは、いわゆる〈先進諸国〉と言われる国々です。
この栃木県は、東京圏の工業製品の生産拠点として、その重責を担っているのですが、昔から江戸や東京に食料を供給する農業県でした。国の基幹産業こそ、農業に違いありません。この県の農業を語る上で、一人の人物に注目せざるを得ません。「二宮金次郎(尊徳)」です。
昨日も小学校の脇を歩いていましたら、校庭の片隅に、雨風に晒されて渋くなった金次郎少年の銅像がありました。真岡市(もおか)に、「二宮尊徳記念館」あります。おもに真岡藩は、小田原藩の分家というよしみで、小田原藩で財政改革を指導をして、大きな成果を残した金次郎を招き、指導をあおぎました。
下野国(しもつけ)の桜町領・茂木領・烏山藩などで農村再興に成功したのです。その記念館のパンフレットに、「二宮尊徳の教え」があり、次のように記されています。
.
.
[報徳「徳を以って、徳に報いる」」
物や人そのものにそなわっている「持ちまえ、取りえ、長所、美点、価値、恵み、おかげ」などを「徳」として、その「徳」をうまく使って社会に役立てていく(お返しをする)ことを「報徳」と呼びました。
[万象具徳(ばんしょうぐとく)]
「あらゆるものに徳はある」と考えました。これを「万象具徳」といいます。
[積小為大(せきしょういだい)「小を積んで大と為す」]
小さな努力をこつこつと積み上げていけば、いずれは大きな収穫や発展に結びつくという教えです。大事を成しとげようと思うなら、まず小さな事を怠らず努めることが大切です。
[一円融合]
すべてのものは互いに働き合い、一体となって結果が出るという教えです。例えば、植物が育つには、水・温度・土・養分・炭酸ガスなどいろいろなものがとけ合い、一つになって育ちます。どれもが大切なのです。
.
.
[心田開発]
やる気こそが復興の鍵となるという教えです。
「報徳の道は至誠と実行]
「報徳思想」とは「至誠(しせい)」を基本とし、「勤労(きんろう)」「分度(ぶんど)」「推譲(すいじょう)」を実行するという考え方で、この「報徳思想」を実践するのが「報徳仕法」です。二宮尊徳は報徳思想を広め、実践することにより、ききんや災害などで困っていた多くの藩や村を復興しました。
- 至誠 「まごころ」のこと。二宮尊徳の仕法や考え方、そして生き方の中心となるもの。
- 勤労 物事をよく観察・認識し、社会の役立つ成果を考えながら働くこと
- 分度 自分の置かれた状況や立場をわきまえ、それぞれにふさわしい生活をすることが大切。
- また、収入に応じた一定の基準(分度)を決めて、その範囲内で生活することが必要。
- 推譲 将来に向けて、生活の中で余ったお金を家族や子孫のために貯めておくこと(自譲)。
- また、他人や社会のために譲ること(他譲)。
二宮金次郎は、明治維新の12年前、1856年に今市(現、栃木県日光市)で亡くなっています。中学校の校舎の前に金次郎像が置かれていて、校長に、登下校2歳に、脱帽敬礼をするように言われたのですが、銅で鋳た像に敬意を表するのはおかしなことだと思ったのです。でも、尊敬に値し、その威徳に学ぶべき人物に違いありません。
休耕地を耕して、食料が自給できる様にならないと、日本の農業は終わってしまいそうです。ですから土をいたわる農業を行い、食べても害にならない作物を作ることなのでしょう。〈儲け主義〉が農業を破壊してしまうのを阻止しなければなりません。健全な農業を行っている生産者を、こういった農家から購入することで支えて、支持していったらいいのでしょう。華南の街で、『30人が買ってくれるなら、一つの農家を支えていけるから!』と誘われた後、帰国してしまいました。
(金次郎像の本の頁に書かれた文章、居住の復元住宅です)
.