「インビクタス」

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“invictus”という言葉があります。ラテン語の「征服されない」、「屈服しない」という意味です。”morior invictus”は、「死ぬまで屈服しない」と日本語に訳されるようです。強い圧政のもとにいる民衆が、『いつか自由な時代が必ずやってくる!』との「不撓不屈の精神」を持って、自分の信念の上に、立ち続ける姿をいうのでしょうか。

今朝一番のニュースは、ネルソン・マンデラ氏が亡くなられたことでした。アフリカ大陸の最南端の国、南アフリカ共和国の身分差別制度の「アパルトヘイト」に反対しながら、27年間もの間、牢獄に入れられながら、屈服することなく立ち続けた政治家です。1991年、ついにこの悪法が撤廃され、1993年には、ネルソン氏は「ノーベル平和賞」を受賞しています。 1994年には、大統領に就任し、1999年に退いておいます。2009年には、クリント・イーストウッドの監督による、映画『インビクタス/負けざる者たち』が制作上映されました。この映画は、マンデラ氏が、決して屈服することなく、アフリカ人の自主独立を勝ち取った、その生涯を記念して描いた作品でした

久しぶりに帰国した時に、次男が、『とても好い映画があるんだけど、観る?』と言って、ビデオで観せてくれたのが、この映画でした。大統領に就任した時のことです。前大統領の警護要員たちを継続して雇用し続けるとの配慮が、彼らの信頼と忠実さを、新大統領が勝ち取って行く心理描写が 、とても好かったのです。また、南アのラグビーのナショナルチームが、貧困地域の子どもたちを訪問して、人種の垣根を超えて、子どもたちの心をつかんで行くくだりも見ものでした。演じたモーガン・フリーマンの演技がとても好かったのが印象に残っています。

ああ言う風に国が変わって行く様子を、スクリーンの中に見て、主義主張や腕力でもなく、一人の人の「人格の力」の力と影響の大きさを感じてなりませんでした。もちろん彼にも弱さがあったのですが。日本が封建社会から近代化して行く中で、 若者たちが、『この自分の国を変えて行くのだ!』と言った使命感を持って立ち上がったのを思い出すのです。時代そのものが、そして民衆自身が、新しい時代を求めようとしていた情熱を、上手にまとめ上げて行くことができたから、ああ言った変化があったのです。とくに「市民」の思いが、十二分に熟成し、機が熟していたことを忘れてはいけないようです。その力に、旧封建体制は、必ず崩壊していかざるをえなかったのです。

政治家には、何千万、何億、何十億人もの人たちの命、何世代にも及ぶ平和な生活の責任があります。自分の力ではなく、民衆の力でもなく、人の歴史を大きく動かしてやまない、「偉大な力」に押し出されて、その任に当たるのが、政治家なのではないでしょうか。国の命運と、国民の将来がかかっているのです。誤ることのない判断と決断が下されるにように、どの国の国民も、それぞれの首長のために願い求めていかなければなりません。二度と戦争の起こらないこと、銃弾に子や孫が倒れないことを願いつつ。

(写真は、南アメリカの「ケープタウン」を衛生写真から作り上げて描いた鳥瞰図です)

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