『人よ彼さきに善事の何なるを汝に告たり ヱホバの汝に要めたまふ事は唯正義を行ひ憐憫(誠実)を愛し謙遜りて汝の神とともに歩む事ならずや (文語訳聖書 ミカ書6章8節)』
小学生の頃に住み、3年ほど働いた、八王子の街の景観の中で、『綺麗だなあ!』と思わされたのは、国道20号線の「銀杏」の街路樹でした。春の緑も合わせ、圧巻は、秋に黄金色の葉に変わる姿です。江戸城を、甲州街道上で守るために定められ、家康没後、墓所となった日光東照宮の警護の勤めを任じられた「八王子千人隊」の隊士たちの居住区の近くの甲州街道沿いにあるのです。
その千人隊士が、通ったのは、日光の「杉並木」です。今でも主要道路になっている、日光街道、日光例幣使街道、会津西街道の「日光神領」内に、松平政綱が、20年ほどの年月を費やして整備したものなのだそうです。今でも、排気ガスにめげずに、きれいな並木の姿を見せています。旅人を、夏の熱射から守っているのです。
この街路樹は、正綱のように、徳川の三代の将軍への敬意を込めて、寄進したものだと言われています。『ここは道路と歩道の路側帯がある!』と言う役割を担っていたのです。ちなみに、ここ栃木の街路樹は、「トチノキ(栃の木)」で、きれいな花をつけるのです。どこの街の街並みにも、特色的な街路樹が見られるようです。
ところが店舗前の街路樹を、枯葉剤を撒いて枯らしてしまう企業のあり方に、驚かされてしまいます。それをしたのが、車両販売をし、安全の運転を促進さなければならない企業が、そんな考えをもって、店の景観だけを優先し、宣伝のためでしょうか、店舗の見えやすさのために、街路樹を枯らしてしまった行為は、車両販売会社としては、信じられない行状です。
昨今の日本有数の企業、これも自動車を生産して来た大企業が、速度テストなどの記録を改竄していたと言うのにも、驚いてしまったのです。気の緩みか、驕りか、その両方が、そんな企業姿勢を見せ付けられてしまうと、父や我々の世代が、地道な努力をして作り上げて来た気概が、傷つけられるのは、許し難いことです。
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《世界のトヨタ》の土台を据え、織物業が、一時期、日本の主要産業だった時代、その織機の製造にために、工夫をし続けて、諦めずに、最良の織機を作り上げた豊田佐吉は、
『わしの今日あるのは、天の心というものだ。それなら、こちらも社会へ奉仕せにゃいかん道理だ。誠実というその字を見ろ。言うことを成せという言葉なんだよ!』、と息子の喜一郎に言い残したそうです。この企業を親会社とする、自動車製造会社が、「誠実さ」を踏み躙ったのは、許し難いことではないでしょうか。
(ウイキペディアによる八王子の銀杏並木、豊田式木製人力織機です)
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