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 「進取の精神」という言葉があります。“goo国語辞典には、<みずから進んで物事に取り組むこと>とあり、英訳は、” a enterprising spirit”で、「企業」とか「起業」も意味していています。また、中国語に、「温故知新(おんこちしん)」という言葉もあり、デジタル大辞泉には、『〈「論語」為政から〉過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと』とあります。

 明治のご維新以降、新政府は、あらゆる面で立ち遅れていることを認め、国家の近代化を、性急に図りました。そのために、維新政府がしたことは、800人もの「お雇い外国人」を、軍事や行政や医療はもとより、多くの分野に招来し、教えや導きを求めることでした。その時の思いを、「和魂洋才」と言うようです。その意味は、<日本固有の精神を失わずに、西洋からのすぐれた学問・知識を摂取し、活用すべきであるということ。「和魂」は日本固有の精神のこと。「洋才」は西洋の学問に関する才能や知識のこと。「和魂漢才」の類推から生まれた語(goo辞書)>です。

 これが、日本人の優れた点だと、国際評価されています。ところが、お隣の中国の清朝も、朝鮮の李朝も、欧米諸国から学ぶことを頑なに拒んだのです。それで、この両国の近代化が遅れてしまったと、後に歴史研究者が語っています。

 東京の大森に、「貝塚」があります。これを発見したのが、東京大学に招聘されていたエドワード・モースでした。また、「お雇い」ではなかったのですが、このPSの文書作成のために使っている、<ローマ字変換>のもとになる、「ヘボン式ローマ字」を紹介したのが、医師で明治学院を開学したジェームス・ヘボンでした。その他に、功績と名をあげたら枚挙にいとまないのですが、知的に教育的に、また現実的に貢献してくれた方が、日本が近代化していく黎明期(れいめいき)に、西欧から大勢のみなさんが来朝したのです。

 多くを受けた日本には、今度は「国際貢献」をしていく責任があり、責務があったのです。それで、多くの日本人が、海外に出て行って、貢献してきています。小学校で学んだ、細菌学者でワクチンを発見した野口英世や、国際連盟で活躍した新渡戸稲造がおります。その他に、名のない多くの人々が、低開発国に赴いて、喜ばれてきたのです。

 これまで時々、大阪と上海を、船で往復して来たのですが、大阪の波止場など、日本の港湾整備の技術の導入も、あの巨大な火力用ダムの建設も、初期的には、「お雇い外国人」がなした業だったのです。

 中学生の頃、年賀状に、「和魂洋才」などと書いて出した覚えがあり、いま思い返すと赤面の至りです。自分の内にある「和魂」が、偏屈な自分を作ってしまったからです。そんな私は、八年間、アメリカ人宣教師と共に過ごし、学ぶ機会が与えられことに感謝しているのです。それで、ほんの少し ” balance ” されたのだと思っています。

(港区白金台にある明治学院のチャペルです)

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