命の神秘

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 「私がひそかに造られ、地の深い所で仕組まれたとき、私の骨組みはあなたに隠れてはいませんでした。あなたの目は胎児の私を見られ、あなたの書物にすべてが、書きしるされました。私のために作られた日々が、しかも、その一日もないうちに。(詩篇1391516節)」

 どうしてこうも違うのでしょうか。同じ学年、戦争中の2ヶ月ほど違う生まれ、同じ時代の空気を吸い、あの時代の物事を同じ様に感じて生きていたのです。敗戦後、必死に働いてくれた父母のもとで、同じ様に育てられ、同じ平和教育を受けたのです。

 この人は、博多で生まれ、博多で育ち、この私は中部山岳の山奥で生まれ、東京で育ったのです。この人は、2016年にノーベル学生理学・医学賞を受賞し、私は無名無冠の只の人で、関東平野の片隅に住んでいます。

 その人が、大隈良典さんです。私が、中学時代に、『入りたい!』と思っただけでしたが、一時は本気で目指した東京工業大学、その学校で、栄誉教授として教育指導と研究をした方なのです。大隈さんが受賞されたのは、タンパク質が物質内に宿す「Autophagy/オートファジー(自食作用)」を発見されたからでした。動物の体内にあるタンパク質に、そんな驚く様な働きが隠れている事を知って、実は驚いたのです。

 私の知っている「タンパク質」の知識は、炭水化物、脂質とともに、「三大栄養素」で、私たちの身体を作るために重要な役割を果たしているくらいです。それなのに、不要になったタンパク質は分解されて、他の用のために用いられて行くという働きを聞いて、生命科学の世界の高さ深さ広さ深さに、畏敬の念さえ覚えさせらたのです。

 これほどの働きを体内の物質が持っているとするなら、その様な作用を計画された設計図があるのではないかと思ってしまうのです。今、ブログを書いている“iPad"ですが、アップル社では、まず設計図が書かれ、そのための部品の材質や大きさが決められ、実際に部品が作られ、それが一箇所に集められて組み立てられ、製品化されて売り出し、次男が買ってくれて、いま手元にあって、実に有用な仕事をしてくれているのです。この発見も、何をかいわんやです。

 買って持っているのではなく、生まれながらに持っているタンパク質が、人の意識外で、この肉体の中で、休む事なく働き続けているのだというのは、《神秘》に違いありません。それを、大隈さんは、顕微鏡を覗き続けて、見つけ出されたというのにも、驚かされます。同じ中学で、いつも制服の上に白衣をつけて、化学室で何かの実験をしていた二級上の「ヤギ先輩」のことを思い出してしまいました。

 『お前の血液型を調べてやる!』と言って、耳たぶから血液を採って顕微鏡で覗いて、『お前はAB型!』と言ってくれました。ずっと、そう信じていて、何かの検査で血液検査が必要で、『AB型ですからしなくても・・・』と言ったら、『念のために!』と言って調べてくれたのです。何と、"O型"に変わっていたので驚いたのです。『あの先輩も、きっと顕微鏡を覗き続けてきているのかな?』、などと思ってしまいました。

 建築か土木をやりたかったのに、全く別な道に進みました。そして、考えもしなかった日本語教師をさせていただきました。それぞれの人生があって好いでしょう。褒賞とは縁のない世界で生きて来ている人の方が、はるかに多い現実で、先週、姪が手術を受け、兄と義姉から、『お祈りを感謝します!』と電話がありました。

 手術をした姪も、まだ深刻な病状ではない家内も私も、一人一人の体内では、「オートファジー」の働きがなされているのだと思うと、生きている意味が実感させられてきます。命の創造者がいて、命を保持していてくださるお方がいる以外に、命は語れません。

 

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