泣くんじゃない!

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子どもの頃に、父親に怒られて、家に帰れなかったり、兄や上級生に殴られて、悔しかったりした時に、よく歌った歌があります。みなさんにも、自分を励ましたり、力付ける「歌」が何かあったことでしょう。昭和6年に、作詞が西條八十、作曲が佐々木俊一、歌が小林千代子で、「涙の渡り鳥 」が発表され、瞬く間に流行ったのだそうです。

1 雨の日も風の日も 
泣いて暮らす
わたしゃ浮世の渡り鳥

泣くのじゃないよ 泣くじゃないよ

泣けば翼も ままならぬ

2 あの夢もこの夢も 
みんなちりぢり
わたしゃ涙の旅の鳥

泣くのじゃないよ 泣くじゃないよ

泣いて昨日が 来るじゃなし

3 懐かしい故郷(ふるさと)の 
空は遠い
わたしゃあてない旅の鳥

泣くのじゃないよ 泣くじゃないよ

明日(あす)も越えましょ あの山を

これは父や母に教えられたものではなかったのです 。私の父母が、歌謡曲を歌ったのを聞いたことがありませんでした。怖い父親でしたが、父が目をつぶって歌っていたのは、私の祖父に連れられて行かれたと言っていた所で歌っていた「さんびか」でした。母も同じで「さんびか」をハミングしていたのです。ある時、『若い頃に流行っていた歌を教えて!』と、母に、ぜひとせがんで教えてもらった歌が一曲だけあり、それが、「無情の夢」でした。

でも、どこで覚えたのか、この「涙の渡り鳥」の歌の後半の部分を、『泣くのじゃないよ 泣くじゃないよ、泣けばカラスがまた笑う !』と、自分で歌詞を変えて歌ったていたのです。実は、今でも、失敗して自己嫌悪に陥ったりすると、歌ってしまうことがあります。寂しいという感情を感じることが、たまーにあります。この歳になってもおセンチになることがあるのです。そうすると、この『泣くんじゃない!』という箇所が、唇から自ずから突いて出てきてしまいます。

(円山応拳の絵です)
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