この2日の日曜日の朝、中央自動車道の笹子トンネル内で、コンクリート製の天井板が崩落して、9人の方がなくなったとのニュースを聞いて、驚きました。何百回となくハンドルを握って通ったトンネルでしたから、人ごとではなかったのです。自分が走っていた頭上に、そんなに重いコンクリート板がはられていたことを、この事故のニュースで、初めて知ったのです。30数年前の工法では、そういった材質の仕切り版が必要だったのでしょうけど、『最近では、軽量で硬質のプラスチック製の板もあるのに!』、と思うことしきりです。
『高速料は高い!』と思いながらも、速さを選んで、国道を走ることをやめてしまっていました。その料金の収益は、相当なものがあったのでしょうけど、それを安全性を考えて、道路保守の整備のために、十分に使わなかったのではないでしょうか。収益の最優先の使途は「安全」が第一なのにです。私の30数年の支払った高速料金の総額で、あの板の一枚くらいの交換代金は賄えられたのではないかと、皮算用をしてしまいました。
『1つの大事故の前に、29の小事故があり、そして300の予兆がある!』というのが、〈ハインリッヒの法則〉です。どんな事件、事故でも、急に起こることは稀です。必ず予兆があるのですから、それを見過ごしてきたことに、今回の事故の原因の一つがあることになります。いつも思うことですが、悲惨な事故が起こってから対策がなされる、病気になってから、やっと健康管理を始めるというのが世の習いです。しかし、収益を上げているのに、それを「安全」のために使わなかった功罪は実に大きいと思うのです。
まだ中央自動車道が、大月までしかなかった時に、国道20号線の笹子トンネル(正式には〈神笹子隧道〉というそうです)を利用して甲府や諏訪の方に出かけていました。このトンネルが長くて、空気が悪くて、気味が悪かったので、ある時、笹子峠を越える旧甲州街道を走ってみたことがありました。曲がりくくねった山道で、やはりトンネルを利用したほうがいいことが分かったのです。やがて、中央道が勝沼まで伸びました。『長いトンネルだなあ!』というのが、高速道の笹子トンネルを通った時の印象でした。
日本中に数えきれないほどのトンネルがあり、陸橋があり、地下鉄が地下を走っています。便利になればなるほど、危険度が増してくるのですから、その危険度を軽減するために、繁栄の日本が歩んできた年月の総決算として、もう一度「列島総点検」が必要ではないでしょうか。都内を走る「首都高速」ですが、道幅は狭く、老朽化が進んで、何年も前から、なんとなく、走るときに怖さを感じていました。ここだって大事故が起こりかねない状況下ですから、早期の対策を講じなければならないのではないでしょうか。
子育て支援をしても、その育っていく生命が危険な目にあったのでは何もなりません。「優先順位」をもう一度再考して欲しいと、一国民として、4人の孫の爺といて、心から願っております。『命あってのモノ種!』です。
(写真は、甲府市から大月に向かう中央道「笹子トンネル」です)