「虱潰(しらみつぶ)し」と言う言葉があります。「かたっぱしから漏れや見逃しがないように調べたり、探したりすること。《語源》虱はとても小さく、人の体につくと取るのが大変で、他人の虱を取る場合は、頭の端から、それこそ髪の毛一本一本を調べるようにして、虱をつぶしていくしかなく、その退治する様子からたとえていう。」と、“語源辞典“にありました。今日日の子どもはシラミなんて知らないことでしょう。
「古事記」の中にも、この虱が出て来ますから、日本に棲息し続けた寄生虫でもあります。小学校で、特に髪の毛の長い女子に、このシラミがわいていた時代がありました。そのために、“DDT"と言われる殺虫剤が、水鉄砲のような構造のポンプ式の散布器で、頭髪に散布されていたのです。私たちの子どもたちが小学生の頃にも、一時期でしたが、東南アジアから旅行者が持ち帰って、このシラミが発生した一騒動ありました。今でも、生命力の強いシラミですから、どこかに棲息していることでしょう。
実はこの殺虫剤の“DDT"の使用を、『危険だ!』と警告した学者がいました。アメリカ人のレイチェル・カーソン女史が、「沈黙の春(1962年刊行)」の中で、マラリヤの流行には、この“DDT"が有効でしたが、薬害の大きさの問題点を指摘したのです。いつも製薬会社と患者の間には、揉め事が大きいのですが。長い目で見て、毒性を持つ薬品が、自然や人体に及ぼす影響の深刻さを、カーソン女史は警鐘を鳴らしたのです。
散布された“DDT"の白い粉が煙のように、校庭にあった、あの時の光景を覚えています。このカーソン女史は、「われらをめぐる海」という本では、気候に大きな影響を与えているのは、海であることを言っていました。今までのほとんどの台風は、フィリピンの近海で発生したのですが、今年も、超大型の台風が頻発しています。
天気予報の映像を見ていて分かるのは、海水の温度や海流などが、温暖化の影響を受けているに違いありません。その海水温の高さが、赤色で、最近は示されるようになってきています。台風を取り囲んだ高温な海水が気化しやすくなって、雨雲が発達する様子が分ります。
大量の物作りをし、生活が豊かになったり、便利になって行く反面、環境破壊をしてしまうと言ったジレンマの中で、この時代を生きなければならない私たちは、真剣にこの問題に立ち向かう必要があります。まだ間に合うかも知れません。氷河が溶けて海面が上昇してきていることだって、高台に住んでいるかと言って、安全ではいられません。大雨での深刻な農業被害だって、出て来ているからです。
警告者の声、特に科学的に根拠のある警告を聞き入れて、息子や孫の世代が、安全な地球で生活を営んで欲しいと願っております。便利さや豊かさよりも大切なのは、「安全さ」だからです。作詞が林 柳波、作曲が井上 武士の「うみ」を歌ってみました。
海は広くて大きいなあ
月は海から登り、太陽は海に沈む
海の波は大きくて青い
この揺れはどこまで続いているのだろうか
海に浮かばせたお船にのって
行ってみたいなよその国
もう5年も、その海を見ていないのです。上海港や大阪港から、二日間の船旅で、海上を航行する船に乗船して、思いっ切り海を満喫した自分としては、海なしの年月はもの足りないのです。穏やかな海の波と潮騒は、人生の子守唄のようで、また砂浜に立ちたい思いが開いてまいります。その海も、一変して嵐になるのが、意外ですが、自然の営みは解し難いものです。
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