セミ

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今年の蝉の鳴き声が、やけに強烈で、けたたましく聞こえてくるのです。日本で聞いていたのは、ほとんどが<油蝉>なのでしょうけど、『 ミーン、ミンミンミン・・・!』と聞こえてきたのに、こちらでは、ひときわ強く、『ジージージー・・・!』の連続音なのです。何十年となく聞き慣れてきた、真夏の日中の蝉の、あの聞き慣れた鳴き声と違って、そう聞こえてくるので、ちょっと期待外れなのだと思います。この蝉は<クマゼミ>に違いありません。酷暑の華南の街の主役が、もしかしたら、この蝉に代わってしまったのでしょうか。

昨日も、蝉の鳴いている木に近づいたのですが、日本では、人の気配を感じて、しばらく鳴き止むのですが、こちらでは、何のその、鳴き止みません。こちらには 、 セミ捕りの悪童がいなかったので、人を恐れない習性が培われているのかな、と思ったりしています。朝や夕方には、『カナカナカナ・・・!』と聞こえる<ひぐらし>の声がありましたが、こちらでは聞いたことがありません。<ツクツクボウシ>の『オーシンツクツク、オシン・・・!』も聞こえてきません。

中学一年の時に、松尾芭蕉の書き著した紀行文、「奥の細道」を教わりました。「古語」で、よく映画の時代劇で聞いていた口調で、書かれてあって、なんとなく分かって、おもしろかっのです。この芭蕉の作った俳句に、

閑(しずけ)さや岩にしみ入る蝉の声

があります。閑静な奥山に分け入った芭蕉が、耳にしたのが、『チー、ジー!』と鳴く<ニイニイ蝉>の蝉の鳴き声でした。まるでその鳴き声は、岩に沁み込んで行くように聞こえていたのでしょう。土の中で長く過ごして、蛹からかえって、短い一生を鳴いて鳴いて終えるのですから、激しく自己主張をするのに違いありません。

あの<アブラゼミ>の鳴き声が懐かしいのです。アイスキャンディーをしゃぶりながら、麦わら帽の私に、ジリジリと照りつける夏の太陽と、<ミンミンゼミ>の鳴き声が、夏本番でした。

(写真は、「アブラゼミ(ミンミンゼミ)ですーWMより)

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