買い物に行く、近所のスーパーマーケットには、バナナの売り場が、けっこう広くとってあります。黄色く熟したバナナは、今では小分けにされ、プラスチックの袋に入れられ並べてあります。子どもの頃は、そう簡単に食べられなかったのです。病気の見舞いに、まるまる「一房(ひとふさ)」、包装紙に包まれたのをもらうと、とても豪華でした。
産地が近いこともあって、「台湾バナナ」がほとんどだったようです。台北市の北方にある基隆(キールン)港から、今のようにダンボールのない時代に、竹籠に入れられて、船便で送り出されて、おもに門司港に水揚げされていたのです。
その門司の名物が、この「バナナの叩き売り」でした。中国や台湾では、野菜として青いままで料理して食べられていました。ところが、私たちには、果物なのです。人だかりの中で、腹巻きをしたおじさんが、次のような口上(こうじょう)をしゃべりながら売る姿も、門司名物でした。
春よ三月春雨に
弥生の空に桜散る
奥州仙台伊達公が
なぜにバナちゃんに惚れなんだ
バナちゃんの因縁聞かそうか
生まれは台湾台中の
阿里山麗の片田舎
土人の娘に見染められ
ポッと色気のさすうちに
国定忠治じゃないけれど
ひと房ふた房もぎ採られ
唐丸籠にと詰められて
阿里山麗を後にして
ガタゴトお汽車にゆすられて
着いたところが基隆港
基隆みなとを船出して
金波銀波の波を超え
海原遠き船の旅
艱難辛苦の暁に
ようやく着いたが門司みなと
門司は九州大都会
門司のみなとで検査され
一等二等あるなかで
私のバナちゃん一等よ
<懐かしの口上より一部抜粋>
今では、フィリピン、エクアドル、メキシコなどの産地から送られて来て、この台湾バナナは品薄のようです。自分としては、この台湾産が好きなのですが、高くて手が出ませんし、最近、家内がバナナ情報を入手して、手当たり次第に食べない方がいいと言ってくれています。
バナナの袋ではなく、バナナ自身に、ナンバーリングのシールがない物は避けた方がいいのだそうで、organicの「9」のシールがついた物を買うようにして、と言っています。産地ナンバーなのか、品質ナンバーなのか、有害農薬の使用未使用なのか、そんな意味づけのナンバーリングのようです。
最近、買い置きを欠かさなかったバナナだったのですが、滅多に食べなくなりました。一年中店頭に並ばせるには、輸入は大変なのでしょう。他の果物は、季節感があるのですが、バナナの年中無休は、何か無理がありそうです。
今日は、久しぶりにバナナでも買ってみましょうか。牛乳と蜂蜜で、ミキサーに入れて、バナナミルク、バナナシェイクがいいですね。青果会社でアルバイト経験が、私はあります。そこには、あ大きな室(むろ)があって、真っ青なバナナを、保存してるのですが、あるガスを充満する部屋で追熟して、出荷調整をしながら作業をするのだそうです。その会社の取締役の息子さんが、そに作業中に、事故で亡くなられたと聞いたことがありました。
道端の商いの光景が、以前はたくさん見られたのですが、泥交通法があってでしょうか、、またはそう言った販売法が、古くてされないのか、見られません。あの独特の不調が懐かしい、暑過ぎる九月です。
(ウイキペディアによるバナナの花と門司港税関です)
.