枕する所

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 熊本地震で被災した友人が、次に起こる地震を考えると、家の中で眠ることができないで、車の中で、幾晩も過ごしたと言っていました。心理的な窮屈さに、身体的な窮屈さが重なっていましたので、熟睡はできなかったそうです。

 父親に叱られて、家を出て彷徨い、野宿をしたことが自分にもありました。枯れ草の中や、貨物列車の車掌室の長い板の椅子の上でした。きっとあの感覚に、地震の怖さが加わって、体験者だけしか感じられないことなのでしょう。

 今正月の能登半島地震でも、家屋の倒壊で、布団の中に眠れない人たちが多くおいでのようです。旅館をされておいでの方が、被災されたみなさんに、布団や毛布を供出されているニュースを聞いています。それで、やっと体を伸ばして、大の字になって眠れたことを感謝されておいででした。

 主イエスさまが、次のように話されたことを思い出しております。

 「イエス言ひたまふ『狐は穴あり、空の鳥は塒あり、されど人の子は枕する所なし』 (文語訳聖書 ルカ伝958節)」

 神の国を解き明かされたイエスさまに従った弟子の一人との語り合いの中で、言われたのが、このことばです。イエスさまに付き従うと言うのは、温かな寝具などない生活だったのです。イエスさまご自身、住む家も、宣教センターも、もちろん別荘もお持ちではなく、枕もベッドも毛布もない、そんな伝道生活を送られておいででした。

 召された弟子たちにも、その覚悟を求められたのです。中国の内陸を、中国服を着て、辮髪(べんぱつ/かつての中国人の髪型)にし、中国食を食べ、中国語を話して、福音宣教をしたハドソン・テーラーがいました。病気で子どもや夫人を亡くされたり、ご自分も病んだりしましたが、その奉仕は驚くほどのものがありました。最後1905年に、湖南省で召され、そこから天に帰って行かれています。

 この方も、イエスさまの真実の弟子で、今そのお孫さんが、志を継いでおられるそうです。

 今冬は、暖冬だと言われていましたが、実際には、極めて寒く、被災地の避難場所では、暖房設備がなく、低体温症が大きな問題となっています。また感染症も大きな問題となっているのです。ただご無事を祈ることしかできず、実際に行動の取れないもどかしさに、申し訳なさを感じてしまいます。災害関連死と言う悲しい事態から、被災者のみなさんが守られ、枕を高くして眠れる日が、一日も早く戻ることを切に願う週末です。

(ウイキペディアによる被災地の珠洲市の見附島です)

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