帰還

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 「わたしは、あなたが滞在している地、すなわちカナンの全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる。」 (創世記17章8節)

 私の父は、自分の生まれた軍港・横須賀の家や土地に、特別な思い入れを持っていたと思います。と言うのは、自分の祖先が鎌倉武士で、源頼朝から拝領した土地を持っていたと言う父の誇りを、私に語ったことがあったからです。

 しかし父は、生まれた時に、家督相続のない庶子として戸籍に登記され、その家屋敷地は、後添えの子、母違いの弟に決められたのです。決して家督相続への執着など持たなかった父は、旧制中学の時に、その家を出て、親戚の家から学校に通っています。自分で人生を切り拓こうとしたのでしょう、鉱山学部のある旧制専門学校に進学し、鉱山技師として生きて行きます。

 旧満州やソウル近郊、山形、山梨などで仕事をしながら終戦を迎えています。戦時中に、母違いの弟(私たちにとっては叔父)は、南方で戦死してしまいます。戦後の新しい相続法で、父には財産権があった様ですが、それには関心がありませんでした。

 それで、何年か前に、父の子の私たち四人に、相続分があると言って来たのですが、私たちは誰も相続しませんで、書面で放棄したのです。父には、産まれて育った家や土地に連なる、鎌倉武士の末裔であることは拠り所でもあったのでしょう。

 「しかし、事実、彼らは、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。それゆえ、神は彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。事実、神は彼らのために都を用意しておられました。 (ヘブル11章16節)」

 この私も父と同じで、血筋や血統などには関心がありません。ただ神の国、この国籍と市民権を与えられたことの誉は強烈に覚えて、感謝で溢れています。それは、「キリストとの共同相続人」であると信じていますので、この地上への執着はありません。

 やがて近い将来、父が慕った地や、私の生まれ育った地でもない、「さらに優れた故郷」、「天の故郷」に帰る日を、雲のような商人たちと共に、憧れ、切望しているのです。

 ただイスラエル民族は、父祖アブラハムに約束された「カナンの地」への思いは強烈です。この写真は、エチオピアから帰還した親子が写っていて、母親は祖先に約束された地に帰って来て、まずしたのは、跪いて、約束の地に接吻をしているのです。ユダヤ民族のカナンの地への憧れは驚くほどのものがある様です。

(“ bridge for peace “ からの最近の写真です)

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