優しい国に

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The Pilgrim Fathers arrive at Plymouth, Massachusetts on board the Mayflower, November 1620. Painting by William James Aylward (1875 – 1956). (Photo by Harold M. Lambert/Kean Collection/Archive Photos/Getty Images)

 これまで両親、恩師、書物から、多くのことを教えられてきました。まだ、その教えを咀嚼(そしゃく)していないのを感じながら、時間のできた今になって、いろいろな学びを思い返したり、図書館に行って本を借りて読んだり、ネット検索をして、資料に目を向けたりしている今日この頃です。

 「物の考え方」で、合理主義と個人主義と民主主義の背景を生きてこられたアメリカ人から、青年期に学ぶことができことに、今更ながら感謝を覚えるのです。この方たちと交流し、学ばなかったら、きっと〈日本主義〉で、日本人の優秀性の亡霊に片寄って、今頃偏屈な老人になっているのだろうと思ってしまいます。

 もちろん私はアメリカ礼賛(らいさん)者ではありません。でも、イギリスからメイフラワー号で渡った、清教徒たちの作った国、その国に移民として渡り、アメリカ市民として教育を受け、生活した方たちの子や孫たちから、感化を受けたことに、とても感謝しているのです。

 コーヒーやアイスクリームやコーラが飲めたことも感謝ですが、神を畏怖し、信頼し、叫び求め、感謝する生き方は、人の本来的なあり方だと学べたことです。母は、少女期に、その隣国のカナダ人宣教師から、真理や義や愛を学んで、恵まれない生まれを恨まずに、天父と出会い、神の恵みを知って生きることを学びました。

 そんな素敵なアメリカが、今危機に瀕してます。民主主義の申し子の国が、危いのです。経済力も弱くなり、世界への影響力が後退しつつあります。でもまだ余力があります。どんなに混迷し、暴力的になったとしても、アメリカの持つ《底力》、つまり建国の父たちから受け継いだビジョンの継承、富や祝福の分配、祈ることのできる神を満ち続けてきていること、それこそ天来の祝福が溢れていることです。

 暴力がことを決める様な、西部劇の世界の様なアメリカになってしまい、堅実に生きてきたアメリカ市民の嘆きが聞こえてきそうです。メイフラワー盟約に、次の様にあります。

 『神の名においてアーメン。われらの統治者たる君主、また神意によるグレート・ブリテン、フランスおよびアイルランドの王にして、また信仰の擁護者なるジェームズ陛下の忠誠なる臣民たるわれら下記の者たちは、キリストの信仰の増進のため、およびわが国王と祖国の名誉のため、ヴァージニアの北部地方における最初の植民地を創設せんとして航海を企てたるものなるが、ここに本証書により、厳粛に相互に契約し、神およびわれら相互の前において、契約により結合して政治団体をつくり、もってわれらの共同の秩序と安全とを保ち進め、かつ上掲の目的の遂行のために最も適当なりと認むべきところにより、随時正義公平なる法律命令を発し、かく公職を組織すべく、われらはすべてこれらに対し当然の服従をなすべきことを契約す。(大木英夫『ピューリタン』中公新書)』

 建国の精神に立ち返って、強いだけのアメリカではなく、優しく人々を尊重する国家が再建されることを、心から願うのです。孫たちを始めとして、この国の子どもたちが、一市民として、平和を享受し、国を愛し、すべての人を愛して、神を畏怖して生きることができる様にも願っているからです。

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