象牙(ぞうげ)が高価な芸術品や置物になるので、象の生息地のアフリカでは、いまだに「密猟」が絶えないそうです。その原因の一つが、日本の「象牙市場」の規制の甘さがあるのだと報告されています。密猟者にとって、高く買ってくれる日本の市場があるのが、密猟が絶えない元凶だと言うのです。
この「ぞう」に関して、「象牙の塔(ぞうげのとう)」と言うことばがあります。“goo辞書”によりますと、《(フランス)tour d’ivoire》芸術至上主義の人々が俗世間を離れて楽しむ静寂・孤高の境地。また、現実から逃避するような学者の生活や、大学の研究室などの閉鎖社会。フランスの文芸評論家サント=ブーブがビニーの態度を評した言葉で、厨川白村(くりやがわはくそん)がこれを紹介した。」とあります。
もう一つ、「部屋の中の象“erephant in the room” 」と言う言い回しが、英語にあるそうです。本来いるべきでない巨体の像が、部屋に中にいると言う、〈異常事態〉を、そう表現するのだそうです。主として芸術至上主義や学者の現実逃避を批判する意味で使われるのだそうです。
”elephant in the room “、その状況は、そこにいるみんなが気付いているのに、気付かないふりをして、その重大な問題に触れようとしないのを、そう言うのだそうです。例えば、自分の人生上の重大な問題に、対処しない危うい状況のようです。
金銭上の問題や、異性問題や、名誉に関することで、人は、敢えて触れないように生きる傾向があるのでしょう。ところが何時か、そのないがしろにし続けた問題が露見してしまいます。それで早い時期に、いえ今すぐに処置すべきなのです。
「ハインリッヒの法則」と言うものがあります。『一件の大きな事故・災害の裏には、29件の軽微な事故・災害、そして300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)があるとされる。重大災害の防止のためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが必要である。危険予知訓練なども参照のこと。』とです。
多くの場合、人は、その人生の後半に、失敗を犯す傾向があるそうです。〈円熟〉とか〈悟り〉だけではない、生きている限り人は、危うさから離れられないのでしょうか。きっと、自分が生き残って、忠告者、“mentor”が亡くなってしまって、もう警告や忠告をしてくれる年配者がいなくなるからなのかも知れません。そう言えば、《老いては子に従え》と言われますが、こう言った意味でなのでしょうか。
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