春秋

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「春秋に富む」と言う言葉があります。「史記(齊悼惠王世家)」の「皇帝春秋富」からの出典です。「春秋」とは<年>のことで、<年齢>の意味でも用いられています。ですから、その意味は、『これから先、残されている年数が多い!』ということになります。

将来のある若者に、『あなたは春秋に富んでいますね!』と言うのです。これは私にも、青年期に当てはまった言葉ですが、それは瞬きの間のように過ぎて行きました。こちらでよく聞く言葉に、「時間過了很快」があります。『時の経つのは大変早いものです!』と言う意味です。中国に参りましてからの年月の動きもそう言うのですが、人生そのものを、そう言って悔やむのが人の常でしょうか。

これも、よく聞いた言葉で、「少年老い易く学成り難し。一寸の光陰軽んずべからず。」があります。『学ぶべき時に学んでおかないといけない。時間を浪費してはいけない!』との教訓なのでしょうか。学びを怠った者には、<後の祭り(時期を逃がして甲斐のないこと)>になってしまいます。

また、「春秋高し」と言う言葉もあります。『高齢である!』という意味になります。まさに私は、今や、「秋高し」です。ところが、一昨日のニュースに、今年のノーベル物理学賞を、赤崎勇氏が受賞することになったとありました。赤崎氏は85歳、私が、その年齢になるには、小学校入学から大学卒業までの年数以上の年月が残されていることになります。その挑戦は、『もう一度、初めめから勉強をやりなおしなさい!』でした。

この赤崎氏について、こんな逸話を同級生が語っているそうです。戦争中の軍需工場での勤労動員の折、クラス全員が教官に殴られることになったのだそうです。その時、『級長の私一人を殴ってください!』と、赤崎少年が前に進み出たことを覚えてるそうです。十代の中ほどで、そんな素晴らしい心を持った少年だったことに、感動させられます。その後、どんな風に生きて来たかは、推して知るべしですね。

このノーベル賞受賞に、心から、『おめでとうございます!』と申し上げます。

(”jijicom”による、赤崎勇氏です)

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