漢語

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私たちが住む公寓が建てられたのは、七年ほど前だったようです。今日の自家用車ブームの到来を予見して、駐車場を作っておけば良かったのにと、他人事のように思うのですが、どうしても今、駐車スペースが不足しています。構内の道路上に、青空駐車をする車でひしめいているのが現状です。きっと車の所有者は、「今日は、どこに停めようか?」で頭が痛いのではないでしょうか。 どうも早い者勝ちの感が否めません。その反動でしょうか、もう乗らなくなった古自転車が、そこかしこに埃をかぶって放置されています。経済発展がもたらした今日日の様子です。

そんな車も、日本のメーカーのものが一番多く目につきます。高嶺の花のクラウンやレクサス、ベンツやアウディーやBMWなども結構あります。青空駐車をするような車ではないのに、高級車がかわいそうに見えます。大通りのロータリーに、昨日から信号が付きました。「こんな所で渋滞?」と思ったら、これまで無かった所に、信号が設置されていたわけです。これでハラハラが少なくなったのようです。じょじょに、渋滞などの対策が講じられてきているのはよいことです。

自動車の増加に伴って、ガソリンスタンドも多くなってきています。これを中国語では、「加油站」と表記しています。まさに「油」を「加える」ための「站(ステーション)」であるのです。この「加油」は、『頑張って!』という意味をもって使われています。「油」を注入することを日本語では「注油」といいますから、「激励」や「応援」の言葉としては理にかなった言葉だと思います。

中国語を少しずつ理解できるようになってきて、「漢語」がなかったら、日本語が成り立たないことを切に感じるのです。文字だけではなく、思想も文化も教育も法制も、これほど影響されている中国との近さを、今更ながらに思わされております。日本古来の「やまとことば」だけだったら、日本語はどうなっていたのだろうかと考えさせられてしまいます。「新聞」は、<ニュース>のことであり、「手紙」は、<鼻紙>のことだったりしますが、とても面白さを感じております。明治期に、ヨーロッパ言語が日本語に翻訳されたのですが、その翻訳語が、中国語の一部になってもいるわけで、「民主」、「主義」、「共和」という言葉は、その一例だそうです。

この何年もの間、学生のみなさんの「作文」を指導させていただいて、思うことが多くあります。これほどに深い交流をしてきた両国、DNA検査をするまでもなく、「民族の血」にしても、私たちは、純血種の「やまと民族」ではなく、漢民族や韓民族の血を受け継いでいるのを感じるのです。中国のみなさんは、日本人よりも、はるかに「外向的」な民ですが、時折り「はにかむ」素振りは、まさに日本人そのものです。大陸に育ったのと、島国に育ったにとの違いだけでしょうか。更なる「友好」の回復を心から願う晩秋の十一月です。

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