“ Love letter “ を、日本語では「恋文」と言いますが、必ずしも異性への愛の告白だけではなく、家族の間でも、師弟の関係でもやり取りをすることができそうです。
私も、好意を感じて、好きになった女性に出したことがあります。何を書いたか、まったく覚えていません。ところが返事がなかったので、〈暖簾に腕押し〉だったのです。札幌や博多から、それをもらったこともありますが、いつの間にか、どこかにいってしまい、返信もしないままでした。
私が読んだ「ラブレター」の中に、一行で三文字のものがありました。南極越冬観測隊で、はるか南極勤務についた、ご主人に宛てて、その奥さんが書き送ったものです。
『あなた!』
これを受け取った夫は、三文字に込められた、奥さまの愛情、思慕、会いたいとの切々たる思いを深く感じたことでしょう。結婚という契約の中で交わされる夫婦の感情が、これほど深くて、一万語を用いて書かれた恋文に勝って、真実な愛が込められていることに、若かった自分は驚かされてしまったのです。
言葉を駆使して、意思の疎通ができるのは人間だけだということを、改めて思わされています。
お隣の国の学校で、日本語教師をしていた時、「写作(xiezuo 作文)」を担当していたのです。日本語学科の三年生に、「三行ラブレター」を書いてもらったことがありました。けっこう難しい主題だったのですが、その時の「三行ラブレター」を、四編ご紹介しましょう。
父さんが作れる たった一つの料理
中国料理の特に卵焼き
どんな料理よりも優しい味 (お父さんへ)
もらった命、もらったやさしさ
きつく叱られた幼き日々も 贈り物だったんだ
本当にありがとう (お母さんへ)
お天気予報
最初にあなたの住む街を見ます
今日はあたたかくなりそうですね (友だちへ)
午前中ずっと私の歩く道路に沿って探していて
ただ、私の服から落ちたボタンのためだったと知って
涙が止まらなかった おばちゃん ありがとう (おばあちゃんへ)
なかなかの生活感のある秀作だったのです。日本語を学んでいる学生たちがいて、今すべきことに懸命なのが嬉しかったのです。もう恋文を書いて贈るのは、妻だけになったでしょうか。いえ友や子や孫たちにだって、まだまだ書けそうです。
(ウイキペディアによる「ヘブライ語聖書」です)
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