中国語は、その世相を、実に上手に表す言葉を生み出しています。だいぶ前のことですが、「低头族/低頭族ditouzu」という言葉が、中国の街を賑やかせていました。謙遜でいつも頭を低くしている人のことだと思いましたら、そうではないのです。
バスや電車に座りながら、また歩きながら、《うつむいている人》のことを、そう言うのだそうです。つまり “スマホ“という新しい携帯を覗き込ん で、まるで画面に取り憑かれたかのように、夢中になって覗き込んだり、操作している人のことです。
先日、高崎までJR両毛線を行き帰り利用したのですが、ほぼ90%の人が、「低頭族」でした。座席に座っているならまだしも、歩きながらの使用も多かったのです。人にぶつかったり、側溝に落ちたり、車に轢かれたりするケースが多発して、社会問題になっているようです。
以前は、メールを操作している人が多かったのですが、今や、高機能携帯電話が出現して、溢れるほどの情報を読んだり見たりできるようになっています。わが家にやってきた青年に、いろいろな機能があって、便利だと言うので、私のスマホにダウンロードしてもらったことがありました
その一つが、ネット販売の支払いのできる“支付宝"でした。〈30分以内の配達!〉が売りでした。代金は、銀行の口座から、引き落とされるのです。自分のスマホにダウンロードした“QRコード“の画面を提示すると、食堂の支払いも、デリバリーの注文もできるのです。
また、今いる付近を走行している〈空タクシー〉を見つけ、連絡をとってくれ、待っていると、目の前に止まってくれるのです。その料金の支配いもできます。さらに、公共バスが、幾つ手前のバス停にいるかも、“GPSシステム“で調べることができるのです。
何と、バス停の近くでも、どこの道端にでも、乗り捨て自由の有料自転車が、この街に出現しました。<100元>を契約時に払って、手続きをして、自転車に付いている“QRコード“を、自分のスマホでスキャンすると、<1回30分1元>で利用することができ始めています。ちょっと便利すぎて、驚いているところです。まだ活躍してるのでしょうか。
だから、スマホを覗き込む人が増えているのでしょう。これは、ここの街だけではなく、東京でもニューヨークでもパリでも同じなのだそうです。四角い画面に向かって、何か礼拝をしているように見えますので、その魔力にかからないように、「拒絶」の意思表示をしている方もいるようです。人との会話が激減しています。目を見て、手で触れられる距離での交わりがなくなってしまっています。大いに心配しています。
私たちの時代は、文庫本や新書版のを、うつむいて読んでいた時代ですが、電車内でも、そう言った人が、両毛線の車内でもみあたりませんでした。もう紙に印刷した情報の時代ではなくなってしまったのですね。それでも電子情報は、ちょっとしたことで失われてしまいかねません。もう回復できないのです。だから、やはり“アナログ“もまた必要で、《備忘録用ノート》に、重要な番号やパスワードを書き写しておく必要がありそうですね。
もう、この新機能についていけないようなので、このまま続けるか、止めるかを決めかねている、わたしの今です。〈15000points 〉を、マイナンバーカードでもらえるそうで、先日、わが家を訪ねてくださった友人が助けてくださって、家内と2人の分を、スマホで手続きしてgetしていただきました。便利過ぎて、〈高頭族〉のわたしは、やっぱりペンで紙が忘れられない、虫の音が聞こえる八月も半ばであります。
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