師走

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外科以外に、ほとんど病院通いをしないで、大人になってから生きてきたのですが、この何年か、血圧を測っていて、とても高い数値が出たのです。今年になってのことで、知人のかかりつけの内科医を紹介していただいて行って、診てもらいました。けっきょく降圧の薬を飲むことになってしまいました。この医師が、何と〈脅しの名手〉だったのです。

何と言ったのかといいますと、血液検査の結果から、体重のコントロールと、甘い物に気をつける様にと言われました。さらにもう一言、『一度壊したら、戻れませんから!』と付け加えたのです。つまり、『糖尿病になったら・・・』と言う、この言葉が、グサっと心に刺さったわけです。そう言われてから、ずいぶん注意深くする様になったのです。

でも、このお医者さんは、ふくよかと言うよりは、血色のよい肥満だったのです。けっこう〈医者の無養生〉で、ご自分にも、そう言い聞かせて生活されておいでなのでしょう。引越して来た家の目と鼻の先の例幣使街道沿いに、内科医がいて、避難先の内科でいただいた薬が切れたので、近所ということで、診てもらったのです。

このお医者さんが話好き、聞き上手で、看護師さんも加わって、中国にいたこと、日本語を教えていたこと、倶楽部のお手伝いをしていたことなどを話してしまったのです。さらに酒とタバコを若い頃にやめたこと、お腹の傷を見たので、腎臓手術をしたことも聞き出されてしまったのです。

「お薬手帳」に、血液検査結果の表があったのを、この医師が見てくださって、中性脂肪以外は問題なしの太鼓判を押してくれたのです。それだからでしょうか、『歳の割りには若いですね!』とほめてくれたのです。昔、若い頃に、耳鼻科の女医さんに、『変な耳!』と言われてしおれたのとは違って、『この方を主治医にしよう!』と決意させられてしまったほどです。《医者の言葉》って力がありますね。

あの女医さんに言われて、帰ってから鏡にうつして、自分の〈変〉だと言われた耳を、つくづく見たのですが、『母似の良い耳なのに!』と思って、医者の言葉を否定し、二度と診てもらいに行きませんでした。ほめられて有頂天にはなりませんが、『当分、大丈夫!』との手形をもらった様で、何か生きて行く自信が出てきた様です。けなされるよりは、ほめられた方がいいですね。

中三の時、大変に心配をかけた担任が、学年末の通信簿に、『よく立ち直りました!』と、両親への通信を書いてくれたのです。『アッ、俺って立ち直ったんだ!』と思ったのですから、自分の担任は、《最高の教育者》だったことになります。『教師になりたい!』と思わせた方でした。

そんなこんなで、今日があります。市役所から、先週末「後期高齢者医療被保険者証」が送ってきました。まだ時々、ときめいてしまうのに、「後期高齢者」の範疇の中に、今月の誕生日から入るんだと思わされて、『まあ仕方がないか!』の師走であります。

(私たちの学校は武蔵野の「クヌギ林」の中にありました)

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