牧水


 宮崎県日向市東郷町(旧・東郷村)に、1885年(明治18年)に生まれ、「酒の歌人」と称されたのが、若山牧水でした。寺の住職で中1の国語を教えてくれた教師が、牧水の歌を教えてくれました。この先生の担任する一学年上のクラスに、牧水の孫がいて、私のクラスに、「白鳥くん」がいました。この牧水が、

   白鳥は かなしからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ

と詠んでいたので、随分、彼がからかわれていたのを思い出します。本名は、若山繁、延岡中学、早稲田大学に学びます。同級に北原白秋がいて、結婚後は、神奈川県や 静岡県沼津に住みます。牧水は、漂白の歌人として、全国を旅しながら和歌を詠みます。長男を「旅人たびと)」と名付けたほどです。とくに「酒」を詠み込んだ歌は、約三百首もあるそうです。その牧水の歌に、

  若竹の 伸びゆくごとく 子ども等よ 真直ぐにのばせ 身をたましひを
  子供等は 子供らしかれ 猿真似の 物真似をして 大人ぶるなかれ

という歌があります。ここに彼の教育論があり、「富国強兵」の世の中に、自然を愛し、その自然に触れるために旅を愛し、その旅の途上で杯を干すといった生き方をした人ですから、おおらかな自然派の教育論だったことになります。

 みなさんは、毎日欠かさずに食べるものがあるでしょうか。私にはあります、トマトです。ほとんど欠かさずに、毎食といっていいほど食べているのです。近くの菜市場に、近隣の「闽侯(ミン・ホウ)」産の物が売っていて、なくなると買出しに行くのです。日本の八百屋に売っているような、皮が薄くて果肉の柔らかな種類のトマトです。ただ昔のような、あの独特な匂いがしないのが残念ですが。牧水は、

  舌に溶くる トマトの色よ 匂ひよと たべたべて更に 飽かざりにけり
  葉がくりに あるはまだ青し あらはなる トマトに紅の いろさしそめて
  トマトの くれなゐの皮に ほの白く 水の粉ぞ吹ける この冷えたるに

と、「トマト」を詠んだ歌が多くあります。トマトの効能について、『☆リコピン このトマトが今、リコピンという成分で注目されています。リコピンはトマトの鮮やかな赤い色のもとになっている色素で、体内の活性酸素を消去するカロテノイドの一種です。活性酸素は、体内に侵入した細菌などを死滅させる働きがありますが、増えすぎると正常な細胞や遺伝子までも傷つけてしまい、その細胞を癌化させることがわかっています。リコピンは、カロテノイドの中で最も活性酸素の消去能力が強く、βカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上の効果があるといわれています。米国の研究では、前立腺ガンの患者にリコピンを投与したところ、ガン組織の成長が抑制されたという報告があります。また、リコピンがLDL(悪玉コレステロール)の酸化を阻害することから、動脈硬化の進展予防効果が期待できるとする研究報告もあります(http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/tomato.htm) 』とあります。中国語では、「西紅柿(xihongshi)」とか「蕃茄(fanqie)」といいます。


 何よりも、牧水の歌が8900首ほどある中で最も有名なのは、

  幾山河 こえさりゆかば 寂しさの  はてなむ国ぞ けふも旅ゆく

です。旅を愛し、旅を詠んだ牧水の歌碑は、日本全国に300基ほど建てられているそうです。静岡県沼津の千本松原に、牧水記念館があり、そこに、この歌の歌碑があります。狭い日本を行き巡り、三十一文字に自らの思いを表現した牧水は、自然や人、日本そのものを、こよなく愛した詠み人だったのでしょう。日本の良さを、ここ大陸の華南の地に住んで思い返し、更に故国の評価を高めている私であります。日本ガンバレ!!!

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