卵売り

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作詞が佐伯孝夫、作曲が利根一郎の「ミネソタの卵売り」と言う歌が、ラジオから流れて聞こえて来たのは、1951年2月のことでした。

ココココ コケッコ
ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番の人気者
つやつや生みたて 買わないか
卵に黄味と白味がなけりゃ
お代は要らない
ココココ コケッコ

ココココ コケッコ
ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番ののど自慢
私のにわとり素敵です
卵を生んだり お歌のけいこ
ドレミ ファ ソラシド
ココココ コケッコ

ココココ コケッコ
ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番の美人です
皆さん卵を喰べなさい
美人になるよ いい声出るよ
朝から晩まで
ココココ コケッコ

実は、ミネソタにも、ロサンゼルスにも、シカゴにも、「卵売り」はいなかったそうですし、今もいない様です。実は、「◯◯の◯◯売り」と言う歌のシリーズが、1950年頃からあって、「リオのポポ売り」、「チロルのミルク売り」というレコードが、日本で売り出されて、その三部作の最後が、この「ミネソタの卵売り」だった様です。

戦争に負けた日本に、アメリカの朝食、「目玉焼きとハム」、「スクランブルエッグとソーセージ」が、憧れの朝食の様に流行って行く時代の歌でした。それはアメリカ食文化の象徴の様な食事でした。

この歌で歌われた、「ミネソタ」は、カナダと国境を接した中西部の州で、州都はセントポールです。その大きな街ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ市民が、複数の警官の過剰な確保によって亡くなり、その行為に抗議する運動が起こって、全米に飛び火していて、まだ収まりません。

アメリカ社会には、深い「人種差別問題」があります。リンカーンは、そう言った問題のさなかで、暗殺されています。日本でも、「部落のみなさん」が根強い差別を喫して来ています。同じ血、同じ文化の中にいながら、江戸時代の「逃散」などによって、山中や町外れの一郭に住み着いたみなさんを、部落に閉じ込めて発生しています。

民族的にも、経済的にも、文化的にも〈優位に立ちたい心理〉が、そういった差別や虐待を生んできています。学校で見られる、〈いじめ〉も同じ根を持つ社会問題です。みんなが譲り合って、美味しい卵料理が食べられるような、平和な市民生活がなされる、大きな転換の事件にして行きたいものです。

(「ミネアポリス」の写真〈ウイキペディアから〉です)

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