ニッポン・サイズ

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アメリカのテキサス人は、なんでも大きいもの好みだと言われています。全米一の大きな州に住むことの誇りで、ステーキもマグカップも「テキサス・サイズ」なのだそうです。ところが、1953年1月に、アラスカが最後の州に編入されてから、No.2に格下げになってしまったのです。世界で一番面積の大きな国は、ロシアです。因みに、カナダ、アメリカ、中国、ブラジルの順に続きます。大きいことって、本当にいいことなのでしょうか?

政治学を学んだり、政治家になろうと考えたことはありませんが、好きな総理大臣に、病気で二ヶ月で退任された、石橋湛山がいます。お寺の子で、甲府一中で学んだことがあり、当時校長をしていた大島正健の感化を強く受けた人でした。大島正健は、札幌農学校の一期生で、直接クラークの薫陶を受けたのです。湛山は、早稲田に学び、後にジャーナリストとなり、東洋経済新報社の主筆、重役をした経歴があります。終戦の年の10月には、「靖国神社廃止の議」を述べています。この湛山の考えの一つは、日本を大国にしようとの動きの中で、「小日本主義」を主張しています。「東洋経済新報」の1921年の社説で、

~一切を棄つるの覚悟~
「我が国の総ての禍根は、小欲に囚われていることだ。志の小さいことだ。古来無欲を説けりと誤解せられた幾多の大思想家も実は決して無欲を説いたのではない。彼らはただ大欲を説いたのだ。大欲を満たすがために、小欲を棄てよと教えたのだ。~ もし政府と国民に、総てを棄てて掛かるの覚悟があるならば、必ず我に有利に導きえるに相違ない。例えば、満州を棄てる、山東を棄てる、その支那が我が国から受けつつありと考えうる一切の圧迫を棄てる。また朝鮮に、台湾に自由を許す。その結果はどうなるか。英国にせよ、米国にせよ、非常の苦境に陥るだろう。何となれば、彼らは日本にのみかくの如き自由主義を採られては、世界におけるその道徳的地位を保つ得ぬに至るからである。そのときには、世界の小弱国は一斉に我が国に向かって信頼の頭を下ぐるであろう。インド、エジプト、ペルシャ、ハイチ、その他の列強属領地は、一斉に日本の台湾・朝鮮に自由を許した如く、我にもまた自由を許せと騒ぎ起つだろう。これ実に我が国の地位を九地の底より九天の上に昇せ、英米その他をこの反対の地位に置くものではないか。」

と語ったのです。あの「言論の自由」の許されない時代に、こうのように言えたことに、驚かされるのです。大局に立って、ものを言える言論人だったことになります。今また、大きな日本、強い日本になるような動きがありますが、石橋湛山なら、『小さな日本で好い!』というのでしょうか。コツコツと物を作り、より良いものを作ろうとして国が富んで行った過去のようにしたら好いのではないでしょうか。争わないで、四海平和な関係を、<ニッポン・サイズ>で、持ち続けて行くのはどうでしょうか。

(図は、かつての日本の「職人」です)

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