1940年と言いますから、昭和14年に、「上海の花売り娘」という歌が大流行しました(川俣栄一の作詞、上原げんとの作曲で、岡晴夫が歌いました)。戦争中でしたが、当時の上海は、日本人の青年たちにとっては、『一度行って見たい!』と願った街の一つだったようです。
紅いランタン 仄かにゆれる
宵の上海 花売娘
誰(たれ)のかたみか 可愛い耳輪
じっと見つめる 優しい瞳
ああ上海の 花売娘
霧の夕べも 小雨の宵も
港上海 花売娘
白い花籠 ピンクのリボン
襦子(しゅす)も懐かし 黄色の小靴
ああ上海の 花売娘
星も胡弓(こきゅう)も 琥珀の酒も
夢の上海 花売娘
パイプくわえた マドロス達の
ふかす煙りの 消えゆく影に
ああ上海の 花売娘
この歌に、「ランタン」が出てきます。中国語では「紅灯籠」と言って、旧正月「春節」の最後の日である「元宵節(日本では<小正月>に当たります)に街中を飾って、行く「正月」を惜しむのです。日本でも、長崎にはこの習慣が残っていて、「長崎ランタン・フェスティバル」という行事が行われるようです。今日が、その「元宵節」です。漢代に始まった中国のみなさんが、とても大切にしている行事なのです。四川省開県には、「対罵」という習慣があるそうです。これは「元宵節」の夜に、家の外に椅子を出して、憎んでいる人に向かって、思いを込め、力を込めて罵るのだそうです。罵られた人は、それを黙って受けなければならないとのこと。思いもよらないで、憎まれていることを知ることもあるのでしょうね。罵った相手と、明日から顔を合わせたら、どういう風に付き合って行くのか、ちょっと心配になりますが。意外とあっけらかんとしている、そんな大らかな国民性を感じますから、問題は起きないことでしょう。
寒くて何もかもが縮こまっていた冬が終わり、「春到来」の喜びの宵なのです。みなさんは、今晩、「湯円」を食べるのです。地方地方によって作り方が違うようですが、白い皮の中にゴマの餡を入れた、ピンポン球ほどの大きさでしょうか、これが美味しいのです。何処かで買ってきて、私たちも日中友好を願い、楽しんで頂くことにしましょう。
(写真は、「ランタン(紅灯籠)」です)