最後のひとつ

 この1月に、日本に帰国している時、出張で東京に来ていた娘が、「梅干し」を2パック買ってくれました。近くの行きつけのスーパーででした。『必ずもって帰ってね。そして大事に食べて!』と言い残して、シンガポールに帰って行ったのです。冷蔵庫にしまっておいたのを、2月に、こちらに戻るときに、しっかりともって帰って来ました。こちらの食習慣に、もう慣れきってしまいましたが、疲れた夕べ、食事の後には、ちょっと甘いものに「緑茶」は、ときどく飲みたくなってしまいます。何ヶ月分も買ってこれませんし、買い出しに帰国するわけでもないので、すぐ底をついてしまいます。無くなってしまうと、至極飲みたいもので、決まって私が、『だれか送ってくれないかなあ!』と言うのですが、どうも声は届かないようです。とくに、煎茶が飲みたくなるわけです。結婚した当時は、若かったからでしょうか、お茶は、客用には買い置きがありましたが、家内とお茶を入れて、ゆくり飲むことなど、まったくありませんでした。「氷水」が定番だったでしょうか。

 今晩、独り世帯の私は、お昼にラーメンを作った時に、野菜炒め(キャベツ、きのこ、玉葱、長ネギ、にんにく、ベーコン)を作ったのですが、それを半分残しておきました。それに、ケチャップを入れて味付けをしてスープにしたのと、菜の花のおひたし(昨晩の残り物)でした。それに梅干しも添えてすませたのです。デザートは、おととい訪ねてきた方が、おみやげで持ってきてくれた「枇杷」を食べて、今日の夕食を終えました。最近、一人で食事をする機会が多くなっているので、やはり食べるって大変なことだと思うことしきりです。外で食べるのは簡単ですが、「化学調味料」の味が強くて、たまにはいいのですが、続けて食べる気にはなりません。さりとて、自分で作るのは、やはり面倒なものですから、一回の調理で、二食、三食分を作って、小出しで食べる知恵がついてしまいました。一番いいのは、「カレー」ですが、帰国する前に作って冷凍にしたのが、残っていたので、戻ってから早速食べてしまいました。そろそろ作ってもいい時期になったようです。

 さて「梅干し」ですが、今晩、最後のひとつを食べ終わってしまいました。ケースを未練がましく覗いてみると、「豊熟梅」と書いてあります。和歌山県田辺市の会社の製造で、賞味期限が〈12.6.10.B〉と記入されてあります。よく見ましたら、〈原料原産地名;中国(梅)〉とあるではないですか。ということは、ここ中国から輸出されて、和歌山で加工し、代官山のスーパーの店頭に並べ、それを娘が買ってくれ、冷蔵庫から出したのを、20キロの荷物制限の中にパッキングして、飛行機で持ち帰った代物(しろもの)なのです。延々と長旅をして、故郷に戻ってきたわけです。その最後でした。国産梅の産地のものが高すぎるのでしょうか、安い輸入品が、ほとんどになってきているのでしょうか。和歌山物と思わせるほどに遜色がなく、中日合作を美味しくいただきました。

 これから、家内に電話を入れるつもりです。もって帰ってくる物のリストに、「煎茶」と「梅干し」を付け加えるように言うつもりです。我が家でも、ときどき持たれる、「奥さま会(こちらに嫁いだ方と日系企業人のご夫人)」でも、やはり日本食の話題が多いそうで、実家から送ってきてもらうのでしょうか、貴重な日本の味に浴することができるので、大歓迎しています。健康だから、食べたくなるので、食欲というのは軽蔑してはいけないのだと思い改ております。そういえば近くのスーパーに、「らっきょう漬」が売っているのです。味付けは、全く日本と同じで、ちょっと高めですが、一昨日買い物に行った時に買ってしまいました。お昼に5こほど食べたので、夕食はやめておきました。明日の楽しみにしようと思います。「食」は大切なので、今日は食べ物のお話でした。

(写真は、〈ゆんフリー写真素材集〉の「梅の実」です)

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