カルタ

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 日本語を教える教材に、「カルタ(歌留多)」を用いることがありました。「あいうえお」の五十音や格言を覚えてもらうのですが、「いろはにほへと・・・」の順で、カルタは作られています。「い」は、『犬も歩けば棒に当たる』と言った風に覚えます。元々は、ポルトガル伝来の「カルタ/ carta 」から作られたもので、英語の ” card / カードを意味しています。

 同じ「い」を、『色は匂えど』と言い表すこともあります。地方地方に、土地柄に見合ったカルタがあって、例えば、「上州かるた」とか、「三池カルタ」などが有名です。この「カルタ」の一種に、「花カルタ」というものがあります。俗に言う、「花札」のことです。よく賭け事に用いられるので、評判が良くありません。

 でも、やってみると、実に日本的な感じがしてきて、ゲーム自身も、簡単に見えますが、なかなか奥が深くて面白いのです。そう言えば、大学生の兄が、運動部に入って、上級生から教わったのでしょうか、家に帰って来て、すぐ上の兄に教えていたことがありました。ちょっと背伸びをして大人になろうとしていたのでしょうか。もう半世紀も前のことでした。

 各月の花が、例えば、一月は「松」、二月は「梅」、三月は「桜」といった風に、札に描かれていて、各月4枚の札があって、四十八枚の花札でできています。この「花札」も、今のように統一されるまでは、各地方特有に作られていた様です。幕府や藩や政府によって、禁止されることもしばしばなほど、人を熱中させる魔力があるったのかも知れません。

 この「花札」のもとになる、"カード/ trump /トランプ ” が欧米にはあります。これもから 11/JACK “、12/QUEEN、13/KING “まであって、各4枚(スペード、ハート、ダイヤ、クローバー<クラブ>)づつあります。これに、ゲームの種類によっては、1〜2枚の  JOCKER ” が加わります。これも、各国、各民族によって様々ですが、今では、アメリカ映画で使われているものが、一般的なのだそうです。

 これも人を夢中にさせるのです。華南の街にいた時に、道路を歩いていますと、使い終わったのか、ゲームが終わったのか、あたり一面に投げ捨てられている様子を見ることが多くありました。賭けに負けて、悔しくて投げ捨てたようです。子どもたちには、見せたくない光景ですが、あちこちで座り込んでしているのは異様でした。カルタも花札もカードも、どこの国でも人を夢中にさせてしまう様です。

 前のアメリカ合衆国の大統領の名前が、「トランプ」でした。この ” Trump"とは、「切り札」という意味を持っているそうです。アメリカの政治や経済など、様々な分野に、難しい課題が突きつけられていますが、あの大統領が、その「切り札」となっていたのかどうか、分かりません。できれば、政の責任者は、ぜひとも「切り札」になっていただきたなと、心から願ってしまいます。

 「江戸歌留多」の「せ」に、『急(せ)いてはことを仕損じる』、「京歌留多」の「お」に、『負うた子に教えられて浅瀬を渡る』、「大坂加留多」の「に」に、『憎まれっ子頭賢し、憎まれっ子神直し』とあります。花札も加留多もトランプも、使う時には、よく切ることが必要なのだそうです。しても熱中させられない様ご注意を。

(「上州カルタ」です)

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